形式意味論の誕生と展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 14:32 UTC 版)
「形式意味論」の記事における「形式意味論の誕生と展開」の解説
形式意味論は、アリストテレスの三段論法やフレーゲの論理学を来源とする。しかしながらこれらの古典的な枠組みは、自然言語は曖昧であって厳密な議論には適さないという印象が動機の一つとなっており、自然言語をそのまま形式的体系と見なして意味を記述する可能性については十分に検討してこなかった。1970年代前半、論理学者リチャード・モンタギューは自然言語の意味を形式的に記述できる可能性を示し、自然言語の意味研究に一大変革をもたらした。 現在、モンタギューの示した枠組みがそのまま用いられることは少なく、これを発展させたいくつかの理論に基づいた研究が活発である。特に、モンタギューが扱わなかった、文より大きい単位に見られる現象や、文脈の問題を考慮に入れた研究が発展してきている。以下に主な理論を挙げる。 一般量化子理論 古典論理学で用いられる∀(任意の)や∃(存在する)のような量化子の概念を拡張して、一般に名詞句表現を量化子と捉えることによって自然言語の意味を記述することを目指す。バーワイズとクーパーによる。 状況意味論 言語が文脈に依存することを中心に据えた理論であり、意味の問題を、言語表現とその表現を用いうる状況との関係として記述する。バーワイズとペリーによる。 動的意味論 言語情報が背景情報と組み合わされることで、知識の状態を更新していくと考える立場である。ハイム、カンプによる。 談話表示理論 談話構造という中間的な表示を与え、文が入力されるごとにその内容が書き換えられていくとする理論で、文を越えた代名詞の照応などを扱うのに適している。認知言語学に属するとされるメンタルスペース理論とも近い関係にある。カンプによる。
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