建造と装飾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/11 22:08 UTC 版)
神殿は南北方向に揃えられており、その正面入り口は北側にある。これは、ギリシャ神殿の大半が東西方向に揃えているのとは対照的である。このようになった理由としては、いくつかの理由が考えられている。例えば、山の斜面に作ったことによる立地上の制約であるとか、山裾から巡礼者が仰ぎ見る際の視覚的効果を意識したなどである。 土台となる床は 38.3 x 14.5 m で、相対的に控えめな大きさといえる。神殿内部の柱はドーリア式の柱による周柱式が採られており、正面6本に対し側面15本で構成されている。天井は失われているため、中心部はいわゆる青空天井になっている。神殿は大理石に彫られたフリーズを除けば、全体的に、アルカディア地方で産出した灰色の石灰岩が用いられている。 ほとんどの主要な神殿と同じように、この神殿にも3つの構成要素を持っている。すなわち、プロナオス(pronaos, 入口)、ナオス(naos, 本殿)、オピストドモス(opisthodomos)である。ナオスにはかつてアポロの神像があったと考えられている。 バッサイの神殿には、パルテノン神殿に見られる湾曲した床などの視覚的な精妙をやや欠いている部分はあるものの、柱はエンタシスを持つ 。 この神殿はドーリア式、イオニア式、コリント式の3つのギリシャ建築様式が一つになっているという点で、異例なものである。ドーリア式の円柱は外周を取り巻いており、イオニア式はポーチを支えるのに用いられ、コリント式は内部の本殿に用いられるという形で、各様式が異なる部位に用いられた。なお、この神殿に残るコリント式の柱頭は、現存最古のものである 。 外部の装飾は相対的にまばらである。しかし、内部は、アマゾネスと戦うギリシャ人やケンタウロスたちと戦うラピテス族などを描いたイオニア式のフリーズによって飾られている。このフリーズの前額は、チャールズ・コックレル(Charles Robert Cockerell)によって 取り外され、1815年に大英博物館に収蔵された。それらは現在でも、大英博物館内のエルギン・マーブル近くに展示されている。コックレルは、その前額を象った石膏模型で、アシュモリアン博物館の大階段室の壁やトラベラーズ・クラブ(Travellers Club)の壁面を飾り立てた。
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