川端文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/08 19:14 UTC 版)
針江区に独特の、湧水利用の文化は、農学者でもある政治家・嘉田由紀子によって、[いつ?]、川端文化(かばたぶんか)と名付けられた。 弥生時代(2000年前前後の時代)にはすでに存在していたと言われる川端は、母屋の内部にある内川端(うちかばた)と、別棟や屋外にある外川端(そとかばた)に分けられる。地区内では地下24m前後まで掘り下げると水脈があるが、地上まで自噴してくる湧水のある川端と、ポンプで汲み上げる湧水のある川端の、いずれもが存在している。井戸から湧出した地下水はまず壺池(つぼいけ)と呼ばれる部分に注ぎ込み、そこから溢れ出して壺池の周囲にある端池(はたいけ)に注ぐ。端池にはコイやニゴロブナなどの比較的大型の淡水魚が飼われている。端池は集落内の水路と繋がっており、端池から溢れた水は水路に出て集落の中央を流れる針江大川(はりえおおかわ)へと流れ込む。針江大川は琵琶湖に最終的に流れ込んでいる。21世紀初頭の現在も108軒(2009年6月、数十年ぶりに1基が新設されて108基となった)の家で川端が利用されている。 飲料水や料理用の水に用いられるのは壺池の水である。また、壺池の水は夏でも冷たいので、野菜や果物、麦茶などを冷やす用途にも使用される。一方、端池には食べかすや野菜屑、使用された皿や鍋などを沈めておくと、端池内に飼われているデトリタス食性を有する淡水魚が食べ物の屑を全て食べてしまう。また、水路や針江大川には、コイ、オイカワ、タナゴ、ヨシノボリ、サワガニ、カワエビなどが生息しており、ここでも食べ物屑は“清掃”(デトリタス食)されてゆく。加えて、水路や針江大川にはアユやビワマスなどの稀少な淡水魚も遡上してくる。減少著しい琵琶湖固有種のセタシジミ(cf. シジミ#種類)も、針江集落では通常的に見られる。 このような壺池、端池、水路、針江大川、琵琶湖という水の流れの上に成立する生態系は非常に巧妙なバランスを保っており、人間の食べ残しによって水が腐るというようなことは無い。
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