局所伝導帯基準、内部化学ポテンシャル、パラメータ ζ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 17:30 UTC 版)
「フェルミエネルギー」の記事における「局所伝導帯基準、内部化学ポテンシャル、パラメータ ζ」の解説
バンド端のエネルギー εC に対して測定された電子エネルギー準位を示すために記号 ℰ を使うこととすると、一般的に ℰ = ε – εC を得る。また、パラメータ ζ をバンド端を基準としたフェルミ準位 ζ = μ – εC と定義する。 すると、フェルミ分布関数は次のように書ける。 f ( E ) = 1 e ( E − ζ ) / k T + 1 {\displaystyle f({\mathcal {E}})={\frac {1}{e^{({\mathcal {E}}-\zeta )/kT}+1}}} 金属のバンド理論は、その基礎にある熱力学と統計力学に多大な注意を払ったゾンマーフェルトが1927年に発展させた。紛らわしいがいくつかの文脈ではバンド基準量 ζ は「フェルミ準位」「化学ポテンシャル」「電気化学ポテンシャル」と呼ばれ、大域的に基準を決めたフェルミ準位の曖昧さにつながる。この記事では ζ を示すために「伝導帯基準フェルミ準位」や「内部化学ポテンシャル」という言葉を使うことにする。 ζ は活性な電荷キャリアの数とその運動エネルギーと直接的に関係している。よってそれらは(電気伝導率など)物質の局所的特性に直接関与している。このため単一で均一な導電性物質での電子の特性に集中するとき、ζ の値に焦点を当てるのが一般的である。自由電子のエネルギー状態との類似性より、状態の ℰ はその状態の運動エネルギーであり、εC はポテンシャルエネルギーである。この点を考慮して、パラメータ ζ は「フェルミ運動エネルギー」と名前をつけることもできる。 μ とは違い、熱平衡状態においてもパラメータ ζ は物質中で一定ではない。εC は物質の質や不純物/ドーパントのような因子によって変化するため、物質中の位置によって μ は異なる。半導体や半金属の表面近くでは、電界効果トランジスタのように、ζ は外部から加えられた電場によって強く支配される。マルチバンド材料では、ζ は単一の場所でも複数の値をとり得る。たとえばアルミニウム金属片では、フェルミ準位を横切る2つの伝導バンドが存在する(その他の材料では更に多くバンドが存在する)。各バンドに対応してそれぞれ異なるバンド端エネルギー εC と異なる ζ が存在する。 絶対零度での ζ の値は広くフェルミエネルギーと呼ばれており、ζ0 と書くことがある。しかし、紛らわしいことに「フェルミエネルギー」という言葉が絶対零度でないときの ζ を示すときに使われることもある。
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