局所体上のハール測度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 09:23 UTC 版)
局所体 K の付値環を R とすると、R はコンパクトであるので、K を加法に対する位相群とみなすことにより、K 上のハール測度 μ で、 μ ( R ) = 1 {\displaystyle \mu (R)=1} と正規化されたものが唯一存在する。次に、 K × {\displaystyle \scriptstyle K^{\times }} を乗法に対する位相群とみなすことにより、単数群 U に対して、 μ × ( U ) = 1 {\displaystyle \scriptstyle \mu ^{\times }(U)=1} と正規化されたハール測度 μ × {\displaystyle \scriptstyle \mu ^{\times }} が唯1つ存在する。このとき μ × {\displaystyle \scriptstyle \mu ^{\times }} は μ を用いて以下の様に表される。 (1) K が p進体の有限次拡大と同型のとき | ⋅ | K {\displaystyle |\cdot |_{K}} を K の正規付値としたとき、 μ × ( x ) = ( 1 − q − 1 ) − 1 | x | K − 1 μ ( x ) {\displaystyle \mu ^{\times }(x)=(1-q^{-1})^{-1}|x|_{K}^{-1}\mu (x)} が成立する。ここで、q は剰余体の元の個数とする。 (2) K が F q ( ( t ) ) {\displaystyle \scriptstyle \mathbb {F} _{q}((t))} と同型のとき | ⋅ | K {\displaystyle |\cdot |_{K}} を K の正規付値としたとき、 μ × ( x ) = ( 1 − q − 1 ) − 1 | x | K − 1 μ ( x ) {\displaystyle \mu ^{\times }(x)=(1-q^{-1})^{-1}|x|_{K}^{-1}\mu (x)} が成立する。 ここで、実数体や複素数体についても考察する。これらの絶対値に対して付値環は定義できないので、ハール測度として1次元または2次元の実数空間上のルベーグ測度を考える。 K = R , C {\displaystyle \scriptstyle K=\mathbb {R} ,\ \mathbb {C} } に対して、K の加法群としてのハール測度を μ K {\displaystyle \scriptstyle \mu _{K}} 、乗法群 K × {\displaystyle \scriptstyle K^{\times }} のハール測度を μ K × {\displaystyle \scriptstyle \mu _{K}^{\times }} とし、 | ⋅ | K {\displaystyle |\cdot |_{K}} を K の正規付値とすれば μ K × ( x ) = | x | K − 1 μ K ( x ) {\displaystyle \mu _{K}^{\times }(x)=|x|_{K}^{-1}\mu _{K}(x)} が成立する。 局所体の場合の関係式と見比べると、実数体や複素数体の結果は、 q → ∞ {\displaystyle \scriptstyle q\to \infty } に対応していることがわかる。このことからも絶対値を | ⋅ | ∞ {\displaystyle |\cdot |_{\infty }} と書く妥当性の一端が現れている。
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