少年側の申立権について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
「柏の少女殺し事件」の記事における「少年側の申立権について」の解説
一方、本決定は「同法第27条の2第1項は少年側の申立権を明定していない」という点について判断を下していない。本決定が少年側の申立権について言及を避けたのは、 少年法に再審手続きを新設する改正作業は1977年の法制審議会中間答申から進行中であり、同法第27条の2第1項の文理を離れることは解釈論において立法を先取りしているとの批判を呼ぶ 文理上少年側に申立権を認めていない他の措置(観護措置取消し・試験観察取消し・移送)についても申立権が拡大し、その申立権を理由に家裁の応答義務と少年側の抗告権を肯定する、というように、実体を踏まえないままの安易な議論の波及を呼ぶ 申立権を正面から認めると次は当然に申立権者の範囲についても議論が不可避となる などの理由があると思われる。ただ、本件はまさに弁護士である付添人が取消申立てをした事例であるため、本決定は付添人の申立権については積極的に解していると考えられる。 少年側の申立ては単に家裁に対して職権発動を促す程度の意義しか有せず、従って保護処分不取消しについては新たに裁判で「不取消決定」や「申立棄却決定」をする必要はない、というのが通説である。しかし実務レベルでは、このような申立てに対しても「保護処分取消事件」を立件し、その上で保護処分不取消しを決定・通知する例が多い。法的に不必要であるとしても、裁判所の判断を内心に留まらせることなく手続的に明確化することは歓迎されるべきであり、本決定もまた、本件一審が申立てに対して実体審理の上で決定を下したことを正当であると評している。
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