小倉工場式切取り除煙板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/28 15:34 UTC 版)
門鉄デフの例 (58654) 長工デフの例 (D51 862) 北海道形切り詰めデフの例 (D51 286) 後工デフに準じたデフレクタを取り付けた D51 498 秩父鉄道創立110周年記念に門鉄デフを取り付けた C58 363 九州の日本国有鉄道小倉工場では、1945年以後に除煙板を上半分を残して切り取り、車体にアングル材で取り付けた除煙板、いわゆる小工式デフレクターが登場した。これは、門司鉄道管理局式デフレクター、略して門鉄デフ、門デフと呼ばれて親しまれた。これはドイツのヴィッテ式デフレクタを参考にしたという説があるが、ボイラーから左右に支持部材を水平に突き出して固定するヴィッテ式とは異なり、左右のランボード上から棒状の部材を突き出して支持するという、通常の除煙板に近い構造となっており、外観はともかく構造面では別物である。 その後、信越地区の長野工場で検修された機関車にも、下縁が水平でなく後方に向かって切れ上がっている形状で、支持方法が異なる類似の除煙板が取り付けられ、長工デフと称されている。 他に同じ九州の鹿児島工場、中国地区の後藤工場でも変形デフ(鹿工式デフ、後工デフ)の取り付けが行なわれていた。 長工デフの装備が3形式(C57形、D50形、D51形)、後工デフが3形式(C51形、C58形、D51形)、鹿工式デフが1形式(C61形。鹿児島機関区配置の13号機のみ)と装備した形式が少ないのに対し、小工デフ(門鉄デフ)を装備した形式は13形式(C59形、C58形、C57形、C55形、C51形、C50形、C11形、D60形、D52形、D51形、D50形、9600形、8620形)と非常に多く、またデフ自体の形状も変形を含めると10種類程度に分類されるほど多くのタイプがあり、当時九州で活躍したほとんどの形式に装備されたこともあって九州(特に北九州地区)の名物と言っていいほどであった。 この中には「金のかもめに銀の波頭」(C57 11。特急かもめ牽引機へ指定時に小倉工場で整備)や「波に千鳥」(C50 58。後に79668へ移設。現在は小倉工場で保管)など、固有の装飾を施したものも何例か存在した。 これらの門鉄デフは装備した機関車固有のものとは限らず、装備機が廃車になると他の機関車にデフが転用され、引き継がれることも数多くあった。 現在、JR九州が保有する58654(8620形)が門鉄デフを装着しているほか、JR東日本が動態保存するC57 180およびD51 498にもオプションで取り付け可能となっている。また、秩父鉄道のC58 363は会社の創立110周年の記念に門鉄デフを取り付けて運行した。また、大井川鐵道のC11 190も、2016年1月から3月までは、門鉄デフを装着して運転していた。
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