寄宿舎生活の秩序
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 08:38 UTC 版)
第95条(寄宿舎生活の秩序) 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、左の事項について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。1.起床、就寝、外出及び外泊に関する事項2.行事に関する事項3.食事に関する事項4.安全及び衛生に関する事項5.建設物及び設備の管理に関する事項 使用者は、前項第1号乃至第4号の事項に関する規定の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。 使用者は、第1項の規定により届出をなすについて、前項の同意を証明する書面を添附しなければならない。 使用者及び寄宿舎に寄宿する労働者は、寄宿舎規則を遵守しなければならない。 第106条(法令等の周知義務) (略) 使用者は、労働基準法及び労働基準法に基いて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によって、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。 使用者に寄宿舎規則の作成義務を課し、さらに過半数代表の同意を得ること及び行政官庁(所轄労働基準監督署長。以下同じ)への届出を課したものである。 第1項の1~4の事項については、寄宿舎生活中労働関係の要請を充たすために規制せらるべき部分であり、したがって寄宿労働者と使用者との共管事項として、これが規定の作成・変更について寄宿労働者の過半数の同意を必要としたものである(昭和23年3月30日基発508号)。食費、部屋代、寝具の損料を労働者に負担させる場合には、これらの労働条件に関する事項について就業規則に記載しなければならない。 「労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない」のは、その作成または変更をなす場合であって、寄宿舎規則作成の時に寄宿労働者の過半数の同意を得ていれば、その後に寄宿労働者が入れ替わって作成当時の労働者の過半数が変わっていても、改めて寄宿労働者の同意を得る必要はない(昭和28年2月27日基収806号)。つまり、同意は規則の成立要件であり存続要件ではないとされる。 寄宿舎生活の自治の建前からいえば、寄宿舎規則は本来労働者が作成するのが望ましいが、法制定時は労働者に自治の経験が乏しく、当該労働者では寄宿舎での共同生活を営む上での秩序を自立的に形成することが難しいと立法者が判断したことにより、使用者に規則作成義務を課したとされる。
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