宿命遺伝子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/02 16:19 UTC 版)
アーヴには皇帝に対する絶対的な心服や忠誠という概念が無く、しばしば皇帝や皇族は揶揄の対象となる。ある皇帝が不敬罪を作ったが、実際に運用するとアーヴ貴族の大半を逮捕しなければならなくなるため死文化しているというエピソードもある。 その一方で組織・帝国への反抗が起きたことも無く、これはアーヴに植え付けられた宿命遺伝子によるものである。このためアーヴの歴史に(地上人主体の地上軍による反乱を除き)内乱はない。また、皇族同士での血生臭い権力闘争や、有力貴族による簒奪・クーデターが試みられた例もない。実際に皇帝ないし船王をアーヴが抹殺した(しようとした)例は、アーヴ黎明期に初代スポールらが、初代船王である"名も無きアブリアル"を殺害した例が記録されるのみであるが、これはその"名も無きアブリアル"が、自ら機能停止を望んだが故のことである。 クー・ドゥリン(会社の経営権を巡って父親を叔父に殺害された)などのように、こうしたアーヴの側面を非人間的で、アーヴが人間ではない証拠だと主張する者もいる。しかしながら、知性を持った生命体にそのような絶対服従を遺伝的に植え付ける事は不可能であり、実際の宿命遺伝子の効果としては、仲間への強い帰属意識を持たせる事でしかない。そして元来は宿命遺伝子は、アーヴに母都市への服従を強いる目的で作られたものである。しかし宿命遺伝子による「仲間への強い帰属意識」は、母都市に対してではなく、むしろアーヴの集団に対して向けられるようになってしまった。結果としてアーヴは母都市と決別し、ついには懲罰を恐れるあまり母都市を滅ぼすに至る。しかしその事はアーヴにとって深刻な種族的トラウマとして、長い年月を経た後も彼らに残されている。また上述の通り、少なくともアーヴの間での権力闘争や叛乱を阻止する効果はあったようである。 一方、アーヴを生み出した母都市は、その後、アーヴ同様の作業生体を作り出した様子である。その作業生体に植え付けられた宿命遺伝子は、アーヴのそれよりも母都市に対する忠誠を喚起する効果は高かったようであり、彼らはすでに生命が滅びた太陽系に帰還して自らを滅ぼした。
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