家族の処罰感情
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 16:55 UTC 版)
被害者の遺族の処罰感情は量刑判断では考慮されない。例えば、2親等以内の家族がいない、または、3親等以内の親族もいない人を標的に選んで殺害した場合、処罰感情を述べる家族がいないからという理由で、不起訴、無罪、判例より軽い量刑判断をされることはない。 例えば、多額の財産を保有していて、身寄りのない・天涯孤独の老人を標的にして、殺害して金銭や財産を奪った事例では、殺害された被害者に代わって処罰感情を述べる家族は存在しないが、それを理由に検察が不起訴にすることも裁判で判例より軽い求刑をすることもなく、それを理由に裁判所が無罪判決や判例より軽い判決をすることはない。 例えば、殺害された被害者の家族が裁判で、加害者に対する死刑を強く要求しても、裁判所が被害者の家族の要求をそのまま受け入れて死刑判決をするわけではなく、判例に照らして死刑相当の事件でなければ、死刑判決にはならない。 「被害者遺族が極刑を求めるのは当然」というステレオタイプで語られる場合が多いが、実際のところは極刑を求めない被害者遺族も一定数存在する(国内における著名な活動家として、松本サリン事件の被害者である河野義行など)。 また日本では、殺人犯が被害者の親族である割合が、45%~55%である。また、既遂の場合は50%~65%、未遂は45%~55%であった。更に既遂の割合は、ここ10年は減少傾向であり、2019年は約32.8%で、2010年の約41.3%に比べて減っており、2013年以降は3割台で推移している。前述の親子心中や被介護者殺害を殺人罪として立件すれば、もっと増えることになる。被害者と加害者を共に親族とする者の場合、極刑を求めることはあまりないようである。
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