室鯵とは? わかりやすく解説

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むろ‐あじ〔‐あぢ〕【室×鰺/×鰘】

読み方:むろあじ

アジ科海水魚全長40センチ。体はやや細長く、ぜんごとよぶ硬いうろこが尾部しかない体側中央赤褐色縦帯がある。本州中部以南産しマアジより暖海を好む。よく似て尾びれの赤いものはオアカムロで、ともに干物にする。

[補説] 「鰘」は国字

室鰺の画像
ムロアジ(上)とトビウオのくさや

室鰺

読み方:ムロアジ(muroaji)

アジ科海水魚

学名 Decapterus muroadsi


室鯵

読み方:ムロアジ(muroaji)

一種

季節

分類 動物


ムロアジ

(室鯵 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/18 07:30 UTC 版)

ムロアジ属
インドマルアジ Decapterus russelli
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: アジ科 Carangidae
亜科 : アジ亜科 Caranginae
: ムロアジ属 Decapterus
学名
Decapterus
Bleeker, 1851
タイプ種
Caranx kurra Cuvier, 1833
(=Caranx russelli Rüppell, 1830)[1]
和名
ムロアジ属
(本文参照)
D. koheru

ムロアジ(室鯵、鰘)は、狭義にはアジ科海水魚の一種 Decapterus muroadsi を指すが、広義にはムロアジ属 Decapterus に属する魚の総称として使われる。

全世界の熱帯温帯海域に約10種が知られる。ただしマルアジ D. maruadsiマアジ Trachurus japonicus によく似ていて、ムロアジ類とはまた別に扱うことも多い。

特徴

アジ亜科の分類でムロアジ属に特徴的なのは、小離鰭(しょうりき)と呼ばれる、背鰭と臀鰭の後ろに分離した小さな鰭である。他にも側線上の稜鱗(ぜんご・ぜいご)が体の後半の直線部にしかないこと、体型が前後に細長い円筒形であることなども特徴となる。

外洋に面した沿岸部や島嶼周辺に生息する。海の表層-中層で群れを作り、活発に遊泳する。食性は肉食性で、小魚や甲殻類頭足類、動物プランクトンなどを捕食する。産卵期は5-6月で、この時期には沿岸の浅場に接近する。

利用

分布域の沿岸各地で定置網・巻き網・釣りなどで漁獲される。旬は夏とされている。

用途としては、マアジより血合肉が多いことと、脂肪分や旨みが少ないことから干物にされることが多い。ムロアジ類の干物として日本で有名なのが伊豆諸島で作られるくさやである。くさやに使うくさや液のことを魚室(むろ)と呼んだことからムロアジの名が付いたともいわれる。また、鰹節のように燻製にして硬く干したもの(鯵節/むろ節)は、ダシ取り用に鰹節同様に用いられ、特に中部地方で好まれる。新鮮なものは刺身たたき焼き魚などで食べられる。

食用以外の利用法として、ブリ類・マグロ類・ハタ類など大型肉食魚の釣り餌に使われることもある。

分類

本属のうち、オアカムロ種群(The red-fin Decapterus group)と呼ばれるアカアジ・オアカムロ・サクラアジ・キツネアカアジの4種は尾鰭が赤色を呈することで区別される[2][3]

種類

以下の有効種の分類は、WoRMS (2023) に従う[4]

ムロアジ(室鯵) D. muroadsi (Temminck & Schlegel, 1844)
英名Amberstripe scad。日本での地方名にアカゼ(東京)、モロ(東京・長崎)、アジサバ(富山)、マムロ(和歌山)、ウルメ(鹿児島)などがある。
全長50 cmほど。体型は前後に細長い円筒形で、尾鰭は灰色を帯びた黄色である。稜鱗は側線直線部の3/4にある。新鮮なものは体側に金色の細い縦帯がある。インド洋太平洋の熱帯・温帯域と、大西洋アフリカ南部沿岸に広く分布する。日本でも北海道南部以南で見られる。
アカアジ(赤鯵) D. akaadsi Abe, 1958
全長 30 cm。ムロアジより体高が高くマアジに似るが、小離鰭があるので区別できる。和名は尾鰭が赤いことに由来するが、オアカムロほど赤くない。日本南岸から南シナ海までの太平洋西部沿岸に分布する。
オアカムロ(尾赤室) D. tabl (Berry, 1968)
英名Roughear scad。日本での地方名はオアカ(東京・和歌山)、アカムロ(和歌山・高知)、アカアジ(鹿児島)、アカムツなどがある。
全長 50 cm。体型はムロアジに似るが、和名通り尾鰭が全体的に赤い。アカアジよりも体高が低い。日本・オーストラリア・ハワイまでの西太平洋、インド洋のアフリカ南東部沿岸、ノースカロライナからベネズエラまでの大西洋西岸に分布する。
モロ D. macrosoma Bleeker, 1851
英名Shortfin scad
全長 35 cm。尾鰭は褐色が強い以外はムロアジによく似ている。インド太平洋の熱帯・温帯域沿岸に広く分布する。大洋を群れを作って泳ぐ。
クサヤモロ D. macarellus (Cuvier, 1833)
英名Mackerel scad。日本での地方名としてシロムロ、アオムロ(伊豆大島)、アオサギ(和歌山)などがある。
全長 40 cm。口先がやや前方に突き出ること、稜鱗は側線直線部の1/2に留まること、尾鰭は褐色が強いことでムロアジと区別する。また、体側に1本の青い縦線が走る。全世界の熱帯・温帯海域に広く分布する。水深40-200 m の海、特に岩礁の周辺などに群れを成して生息する。動物プランクトンを食べる。クサヤモロで作ったクサヤは高級品で、最も美味とされる。
マルアジ(丸鯵) D. maruadsi (Temminck & Schlegel, 1843)
英名Japanese scad。地方名にはマル(東京)、アオアジ(高知・和歌山)などがある。
全長 25 cm。マアジに似るが、小離鰭があることや稜鱗が側線直線部のみにあることから区別できる。ムロアジと総称される中には含まない場合が多い。西太平洋とインド洋東部の熱帯・亜熱帯域に分布する。
インドマルアジ D. russelli (Rüppell, 1830)
英名Indian scad
全長 45 cmほど。尾鰭は淡黄色-淡紅色。インド太平洋の熱帯域に分布し、南日本でも見られる。
D. koheru (Hector, 1875)
英名Koheru
全長50cmほど。ニュージーランド近海の固有種
キツネアカアジ D. kurroides Bleeker, 1855[3]
英名Redtail scad
全長45cm前後で体型はアカアジに似る。南日本を含むインド太平洋の熱帯域沿岸に分布する。
D. punctatus (Cuvier, 1829)
英名Round scad
全長30cm前後。大西洋沿岸の熱帯・温帯域に広く分布する。
サクラアジ D. smithvanizi Kimura, Katahira & Kuriiwa, 2013[2]
英名Slender red scad。標準体長11.8 - 28.95 cm。インドネシア、タイ、日本で記録がある[5][6]

参考文献

  1. ^ Parin, N.V.; Evseenko, S.A; Vasil'eva, E.D., Fishes of Russian Seas: Annotated Catalogue, KMK Scientific Press, 2014, Page 361.
  2. ^ a b Kimura, Seishi; Katahira, Kazuma; Kuriiwa, Kaoru (2013). “The red-fin Decapterus group (Perciformes: Carangidae) with the description of a new species, Decapterus smithvanizi”. Ichthyological Research 60 (4): 363–379. doi:10.1007/s10228-013-0364-9. ISSN 1341-8998. 
  3. ^ a b 髙橋夢加・岡田誠・笹木大地・本村浩之・木村清志「熊野灘と東シナ海から得られた日本初記録のムロアジ属魚類Decapterus kurroides キツネアカアジ(新称)」『魚類学雑誌』 第65巻 2号、日本魚類学会、2018年、181-185頁。
  4. ^ Froese, R. and D. Pauly. Editors. (2023). FishBase. Decapterus Bleeker, 1851. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=125937 on 2023-03-05.
  5. ^ 岩坪洸樹・木村清志・本村浩之「東シナ海と鹿児島県枕崎市沖から得られた日本初記録のアジ科魚類Decapterus smithvaniziサクラアジ(新称)」『Nature of Kagoshima』第42巻、鹿児島県自然愛護協会、2016年、179-182頁。hdl:10232/00029852
  6. ^ 畑晴陵・本村浩之「内之浦湾から得られた北限記録のサクラアジ」『Nature of Kagoshima』第43巻、鹿児島県自然愛護協会、2017年、123-126頁。hdl:10232/00031165

「室鯵」の例文・使い方・用例・文例

  • 室鯵という
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