実函数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 04:53 UTC 版)
「実解析」も参照 実函数とは「実変数」「実数値」の函数、つまり実数全体の成す集合を終域とし実数からなる適当な区間を含む部分集合を定義域とする函数を言う。以下本節では、そのような函数を単に函数と呼ぶことにする。 数学及びその応用分野において最もよく扱われる函数はさらに適当な正則性条件(連続性や微分可能性あるいは解析性など)が課せられる。このような正則性があることによって、函数はそのグラフを用いてよく視覚化することができる。以下、適当な区間上で微分可能であるような函数だけを扱う。 函数は点ごとの演算が備わっている。つまり、函数 f, g に対して、それらの和・差・積を ( f + g ) ( x ) := f ( x ) + g ( x ) ( f − g ) ( x ) := f ( x ) − g ( x ) ( f ⋅ g ) ( x ) := f ( x ) ⋅ g ( x ) {\displaystyle {\begin{aligned}(f+g)(x)&:=f(x)+g(x)\\(f-g)(x)&:=f(x)-g(x)\\(f\cdot g)(x)&:=f(x)\cdot g(x)\\\end{aligned}}} で定義すれば、f, g の定義域の交わりを定義域とする函数が得られる。同様にこれらの商を f g ( x ) := f ( x ) g ( x ) {\displaystyle {\frac {f}{g}}(x):={\frac {f(x)}{g(x)}}} と定義することができるが、この場合定義域は f, g の定義域の交わりから g の零点を除いたものになる。 多項式からは実数全体で定義された多項式函数が定まる。これには定数函数・一次函数・二次函数などが含まれる。ふたつの多項式函数の商である有理函数は(零除算が起きないように)有限個の例外を除くすべての実数を定義域とする。もっとも単純な有理函数 x ↦ 1/x のグラフは双曲線で 0 を除く実数直線全体を定義域に持つ。 実可微分函数の導函数もまた実函数である。実連続函数の原始函数はもとの函数が連続となる任意の開区間上で可微分な実函数を与える。例えば逆数函数 x ↦ 1/x は正の実数全体の成す集合上で連続(さらに微分可能)であるから、その原始函数で x = 1 において零となるもの(自然対数函数)は正の実数全体の成す集合上で微分可能である。 実函数 f がある区間上で単調となるのは、平均の変化率 f ( x ) − f ( y ) x − y {\textstyle {\frac {f(x)-f(y)}{x-y}}} の符号が、その区間内の点 x, y の選び方に依らず一定であるときである。その函数がその区間で微分可能ならば、その区間上で微分係数の符号が一定であるときに単調となる。実函数 f が区間 I において単調であるならば、f の逆函数が f(I) から I への函数として定まる。このような方法で、逆三角函数は三角函数が単調となる区間上で三角函数の逆函数として与えられる。あるいはまた、自然対数函数は正の実軸上で単調で値域は実数直線全体となるから、その逆函数である指数函数は実数全体から正の実数全体への全単射であることが分かる。 他にも多くの実函数が陰函数定理(逆函数は陰函数の特別の場合)から、あるいは微分方程式の解として、定義される。例えば正弦函数 sin や余弦函数 cos は線型微分方程式 y ″ + y = 0 {\textstyle y''+y=0} の解として初期条件 sin 0 = 0 , cos 0 = 1 , ∂ sin x ∂ x ( 0 ) = 1 , ∂ cos x ∂ x ( 0 ) = 0 {\displaystyle \sin 0=0,\cos 0=1,\quad {\frac {\partial \sin x}{\partial x}}(0)=1,{\frac {\partial \cos x}{\partial x}}(0)=0} から定まる。
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