ベクトル値函数の微分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/31 08:08 UTC 版)
「ベクトル値函数」の記事における「ベクトル値函数の微分」の解説
実変数ベクトル値函数 ƒ: ℝ → ℝn に対し、その微分は実函数の場合とまったく同じ形で、前進差分商の極限 f ′ ( t ) := lim h → 0 f ( t + h ) − f ( t ) h {\displaystyle \mathbf {f} '(t):=\lim _{h\to 0}{\frac {\mathbf {f} (t+h)-\mathbf {f} (t)}{h}}} で定義できる。ベクトルの演算が成分ごとに定義されているから、上記の極限が存在すれば、それは成分函数の微分からなるベクトル値函数と一致する: ƒ′(x) = (ƒ1′(x), ƒ1′(x), …, ƒn′(x)). 実函数の微分に関する重要な性質はほとんどがベクトル値函数に対しても成立する。とくに微分の線型性と積の法則が成り立つ: これらの結果はベクトル値函数をベルソルを用いた形に書いて計算してみればわかる(ベルソルの微分は零ベクトルであることに注意)。 ベクトル変数のベクトル値函数 ƒ: ℝn → ℝm の場合は、これを m 本の n-変数函数 yi (i = 1, …, m) の組とみれば、mn 個の偏微分が考えられて、これら偏導函数を第 i 行がスカラー値函数 yi の勾配となるようにして得られる m 行 n 列の排列 ( ∂ y 1 ∂ x 1 ⋯ ∂ y 1 ∂ x n ⋮ ⋱ ⋮ ∂ y m ∂ x 1 ⋯ ∂ y m ∂ x n ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}{\dfrac {\partial y_{1}}{\partial x_{1}}}&\cdots &{\dfrac {\partial y_{1}}{\partial x_{n}}}\\\vdots &\ddots &\vdots \\{\dfrac {\partial y_{m}}{\partial x_{1}}}&\cdots &{\dfrac {\partial y_{m}}{\partial x_{n}}}\end{pmatrix}}} は ƒ のヤコビ行列と呼ばれる。
※この「ベクトル値函数の微分」の解説は、「ベクトル値函数」の解説の一部です。
「ベクトル値函数の微分」を含む「ベクトル値函数」の記事については、「ベクトル値函数」の概要を参照ください。
- ベクトル値函数の微分のページへのリンク