安全標識の有効性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/28 16:24 UTC 版)
安全標識は1980年代後半より、主旨をハッキリさせ、誤解の余地をなくすことに重点が置かれて来た。研究者たちは、標識の背景に対して、標識の枠線、色のコントラスト、文字やシンボルなどをいろいろと試行錯誤して、それぞれのインパクトの強さを調査して来た。 1999年、とあるデザイナーのグループが、1人乗り水上バイクの警告ラベルの標準規格の策定を任された時の事を例に挙げる。グループは、同じ警告ラベルに対していくつか異なったバージョンを製作し、それぞれシンボル、注意書き、強調するキーフレーズなどを変えたりしながら、下線を引いたり、太字フォントを使ったり、大文字にしたりしてみた。ラベルのデザインは、理解のしやすさと読みやすさに関して、米国沿岸警備隊・ボートクラブ・ボート業界の代表によってレビューされた。そして、これらのレビューとテストの結果を受け、注意書きをさらに修正し、いくつかのシンボルを再設計した。最終的に完成したラベルは、最初に設計されてから約20年を経た現在もなお水上バイクに使用されている。 標識を設置する場所も、標識の有効性に影響する。1993年の調査では、書類棚の「一番上の段に最初に物を詰め込んではいけません。下の段から使ってください」と言う警告を守れるかどうかをテストした。警告は、配送用の段ボールだけに貼り付けていた場合はほとんど効果を発揮しなかったが、書類棚の一番上の段が開くのを物理的に妨害する段ボールのカバーとして警告を設置した場合は最も効果を発揮し、段ボールのカバーは取り外し可能であったにもかかわらず、一番上の引き出しにファイルが詰め込まれるのをあからさまに妨害した。 「情報過多」などの様々な要因によって、標識の有効性が低下する場合がある。段落のない何行にもわたる長文で構成される標識や、不必要なまでに細かい規則が書かれた標識など、情報過多の標識を目の前にすると、見た人の脳が適切に処理できず、情報のオーバーロードを起こしてしまう。これを防ぐには、重要なキーワードのみを残して警告文を簡略化することが有効である。補足的なマニュアルを配布することや、避難訓練などのトレーニングを行うことも有効である。「警告過多」もこれに関連する問題で、余計なお世話の標識や見れば解るようなことを警告する標識など、大量の安全標識を同時に配置すると、これを見た人に標識が見過ごされてしまう。また、コンディションが悪い、メンテナンスが悪い、設置した位置が高すぎる、または低すぎるなど、警告を読むために無駄に労力を必要とする場合も、標識の効果が低下する場合がある。
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