宇宙開発への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/26 05:30 UTC 版)
アメリカ航空宇宙局(NASA)では、傘状の膨張型大気圏再突入実験装置(IRVE)を開発中で、2007年と2009年、そして3号機は2012年夏に小型ロケットで試験飛行が行われた。NASAではこれを将来の火星、木星、土星などの探査機に搭載する構想がある。 欧州宇宙機関(ESA)は、IRDT(Inflatable Re-entry and Descent Technology)と呼ぶ再突入機の飛行試験を2000年から2005年にかけて4回(うち3回は潜水艦から発射するヴォルナを利用)行ったが、全て失敗に終った。IRDTは宇宙から地上へ物資を回収することを考慮して実証試験を行った。直径80cmの本体から窒素ガスを膨張させて耐熱シールドを2段階に展開することにより直径を3.8mまで広げて減速し、着地時の速度を13-15m/sまで落とすことを目指していた。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、柔軟エアロシェルを有する大気突入システムの開発研究を2003年から開始し、大気突入機による観測ロケット実験を2012年8月7日に行った。実験機は外縁部のトーラスにガスを注入して直径120cmのエアロシェルを展開させて降下し、観測データを正常に取得して実験を成功させた。2017年1月16日、展開型エアロシェル実験超小型衛星「EGG」(重さ約4kg・展開時の直径約80cm)が国際宇宙ステーション「きぼう」モジュールから放出され、軌道上でのエアロシェル展開や大気圏突入の技術実証などが行われた。EGGは日本近海への誘導ができなかったため大気上層で燃え尽きる設計だったが、軌道制御エンジンを載せて地球帰還を目指す次期実験衛星(いわば「スーパーEGG」)も計画されている。
※この「宇宙開発への応用」の解説は、「バリュート」の解説の一部です。
「宇宙開発への応用」を含む「バリュート」の記事については、「バリュート」の概要を参照ください。
- 宇宙開発への応用のページへのリンク