姫山樹林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:27 UTC 版)
姫路城天守周辺北側及び西側には約1.8haの樹林が広がる。この林は大正期から昭和期の調査で「原始林」とされ、市民からも「原生林(姫山原生林)」として親しまれてきた。その後、2011年から2012年にかけて姫路市が専門家に依頼した植生調査で、この樹林は江戸後期には存在せず厳密には原生林と認められないことがわかり、2021年度から始まる整備計画で公的な資料での呼称を「姫山樹林」と改める方針とした。 姫路城では以前から城郭の景観を江戸時代の物に近づけるためや、樹木の生長及び外来植物の繁殖による景観や文化財(特に石垣)・生態系への影響を考慮して、「樹木パトロール」を組織して樹木の伐採・剪定が計画され、下山里曲輪など城郭の一部区域では作業が進められている。また、明治以降に植生した植種は原則伐採されていた。1969年と2010年の植生調査を比べると29種類増えており、外来種のシュロやトウネズミモチ、ニワウルシ、ニセアカシアなどブラックリストにある種も含まれている。 姫路城管理事務所では、城内とその周辺に生えている樹木について、倒木の恐れがあると判断した物の伐採を2008年から開始し、さらに2014年には、大天守南側の石垣とその周辺の樹木についても独自基準で剪定した。ところが剪定の際、幹を残し枝のみを払うというやり方を取ったため、樹木が異様な形となり、市民から「美観を損なう」などのクレームが市に多数寄せられる事態となった。これを受け市文化財課は、管理事務所に対し伐採の中止を指示した。しかしこれは伐採計画の途中段階であって、一斉に根こそぎ伐採すると樹木の根の保持力がなくなり土の崩落の恐れがあるために樹木は残しつつ日当たりを良くして下草を充分に育成させてから伐採に移るための処置であると管理事務所は説明した。 2021年度から始まる整備計画では、生態系に影響のある外来種や、土壌保全の観点から城の構造物に悪影響を与えたり倒木の恐れがある樹木などを伐採する対策が盛り込まれた。
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