妖怪_(司馬遼太郎)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 妖怪_(司馬遼太郎)の意味・解説 

妖怪 (司馬遼太郎)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/06 06:51 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
このページの項目名には、環境により表示が異なる文字があります。公式の表記では しんにょう)の点が二つです。

妖怪』(ようかい)は、司馬遼太郎の長編小説。1967年7月から翌年4月まで『読売新聞』に連載された。1969年5月、講談社刊(ISBN 978-4061304314)、のち講談社文庫[1]

足利義政の時代を背景とし、妖怪というものが実際に存在すると信じられた、荒廃した室町時代後期の人々の混乱を描く。司馬にとって最後の幻術を扱った小説にあたる。

あらすじ

熊野で亡母から室町幕府6代将軍・足利義教の落胤と言われて育った源四郎は、将軍になろうと決意して京に向かう。

8代将軍義政の正室日野富子は男児を儲けていないこともあり、兄の日野勝光が何かに使えるかと源四郎を食客として抱える。富子のライバルである、義政の側室今参局(お今)の拉致を源四郎は命じられるが、お今に「憑いて」いる唐天子という強力な幻術師の術にかかり失敗する。源四郎は日野家を去り、幻術に打ち勝つため剣術修行をしたり、生活のため盗賊団の首領となったりする。その後も源四郎はたびたび富子とお今に関わり、唐天子に翻弄される。

富子は義政の子を流産すると、これを逆に利用し、お今が唐天子に命じて行わせた呪術によるものだと冤罪を着せお今を失脚させる。しかし、皮肉なことにその後も政情は落ち着かず、応仁の乱に到ることとなる。

批評

司馬との付き合いのあった梅原猛は「司馬遼太郎と国民文学の再生」の中で、本作を失敗作と批判している[2]

海音寺潮五郎は本作を『読売新聞』の書評において好意的に取り上げ、「こんなものをおもしろく読んでもらえるのだろうか」と書きあぐねていた司馬を元気付けている[3]

備考

源四郎の盟友が「印地」の大将となるが、本作における印地はやくざ者の集まりとされている。

本作でのお今は、少年の義政に最初にあてがわれた「伽役」以来の側室とされているが、『大舘持房行状』の発見以降の歴史学では乳母と考えられている。また本作では配流地で殺害されているが、史実では配流中に刺客に襲われ自害している。

本作での日野富子は能力を持て余した気儘な人物として描かれている。近年の研究では、幕府財政を支えた人物であり、蓄財もその一環だったのではないかと指摘されている。

脚注

  1. ^ 1970年文庫化(ISBN 978-4061311510)、2007年に新装版が上下に分冊されて発行(ISBN 978-4062757867ISBN 978-4062758796)。
  2. ^ 文藝春秋編『司馬遼太郎の世界』(文藝春秋)
  3. ^ 中公文庫 『歴史の中の日本』 中央公論新社 ISBN 978-4122021037

「妖怪 (司馬遼太郎)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「妖怪_(司馬遼太郎)」の関連用語

妖怪_(司馬遼太郎)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



妖怪_(司馬遼太郎)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの妖怪 (司馬遼太郎) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS