大陸移動のメカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 07:11 UTC 版)
ヴェーゲナーの時代には地球上層部は花崗岩質のシアル(SiAl)層と玄武岩質のシマ(SiMa)層に分かれるとされていた。これは前述のエドアルト・ジュースによる分類である。大陸地殻が氷山のようにシマ層の上に浮かんでいるようなモデルが想像されていた。ヴェーゲナーは密度の小さいシアルからなる大陸地殻が、密度の高いシマ層の上を滑るように押し分けて進むイメージを考えた。 そして、移動の駆動力として離極力(遠心力)と月と太陽による潮汐力に求めた。地球が回転している楕円体であるため、赤道方向への遠心力が働き、インド、オーストラリアの離極運動がおこり、潮汐力により地球の自転速度が遅くなり、南北アメリカへの西向きの力が生じているとした。 このモデルはすぐにハロルド・ジェフリーズ、ポール・ソフォス・エプスタイン(英語版)など物理学者らによって、遠心力や潮汐力は大陸のような巨大な陸塊を動かし山脈を形成できるほど強力ではないことが示されている。シマ層は流体ではなく頑丈な固体であるので、多くの地球物理学者・地質学者に納得のいくメカニズムとはみなされなかった。 その後、アレクサンダー・デュ・トワによる大陸周辺の地向斜による引っ張りによる分裂説(1937年)や、アーサー・ホームズによるシマ層の熱対流による移動説(1929年, のちのマントル対流説、1944年)などが唱えられたが、いずれも証拠に乏しく、定量的にも不十分なものだったため、次第に正統派の地質学者からかえりみられなくなっていった。
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