大衆文化とニホンザル
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ニホンザルは比較的身近な生き物であったことから、大衆文化にもよく登場する。『靱猿』(うつぼざる)は狂言の曲で、毛皮で靫をこしらえるために猿をほしがる大名と猿曳き、そして子役の演じる猿が登場する著名な演目だが、猿自身が主役となる『猿聟』のような曲も狂言にはある。『桃太郎』『さるかに合戦』などの有名な説話においても猿は重要な役割を演じている。ほかにも川柳におもしろおかしく詠まれたり、身近な日用品などのモチーフとしても、猿の意匠はさまざまに使われてきた。 猿の尻木枯らししらぬ紅葉かな (犬筑波集) 「(悪事を)見ざる、言わざる、聞かざる」を象徴するとされるいわゆる「三猿」は、前述のとおり庚申信仰との関わりが深いが、もとは論語の教えや天台宗の教義が日本国内において猿と結びついたものかという。左甚五郎作と伝える日光東照宮のレリーフが世界的によく知られており、現在では三猿のモチーフは世界各国で見られるようになっている。 『鳥獣戯画』(12-13世紀)より、川で沐浴をする猿と兎たち。 『猿蟹合戦絵巻』部分。江戸時代に描かれたもの。 森狙仙『梅花猿猴図』(19世紀初)。ニホンザルは伝統的な花鳥画などに描かれることは少なかったが、後にはこうして主題に置いた作品が見られるようになった。 岩間政盧(いわままさよし)作の鍔。江戸後期。 猿と蛸が引き合っている珍しい図柄。『新説百物語』にあるという「猿蛸を取りし事」 の類話モチーフか。19世紀。 “百猿図”柄の印籠。よく見ると猿たちはユーモラスに人間の服を着ている。 猿芝居の引き札。歌川芳艶筆、1860年。猿太夫勝見鶴之助率いる猿芝居一座による浅草奥山での興行の宣伝ちらし。
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