外太陽系の探査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 14:06 UTC 版)
火星より遠くの宇宙探査は、もはやアメリカの独擅場となった。パイオニア10号・11号とボイジャー1号は立て続けに木星と土星に接近し、写真撮影を行った。そして次のボイジャー2号は、木星・土星を撮影・調査した後、天王星・海王星をはじめて探査した。これらの調査により、木星・天王星・海王星にも土星同様に「環」が確認されたほか、ボイジャーは数々の衛星を撮影した。これら4機の探査機には、いずれ他の太陽系に届くとの希望を込め、異星人あてのメッセージが積み込まれている。できる限り地球独自の習慣によらず科学的に来歴を明らかにする工夫が凝らされているが、パイオニア10・11号に積載されたメッセージ板に刻まれた男女の裸体のイラストをも含めて、これらの異星人あてのメッセージをめぐっては、様々な議論が交わされた。 ボイジャーが海王星軌道を越え、恒星間探査計画に転換すると、アメリカは再度木星を目指し、ガリレオをスペースシャトルから発射した。木星に到達したガリレオは、木星大気中に探査機を投下し、大気圧で押しつぶされるまでの数十分間に渡って、地球にデータを送信した。 一方ソ連の消滅によって、宇宙事業全てを引き継いだロシアは宇宙探査を行う余裕はなくなっている。 アメリカはさらに欧州宇宙機関と共同でカッシーニを打ち上げ、土星に接近した。さらに衛星タイタンに探査機ホイヘンス・プローブを投下し、着陸に成功した。ボイジャーが唯一探査を行わなかった冥王星や、さらにその外側に広がるエッジワース・カイパーベルトに向けても、2006年にニュー・ホライズンズを打ち上げ、冥王星には2015年に接近して探査を実施した(なお、冥王星が惑星から準惑星に変更されたのは打ち上げから約半年後のことである)。 20世紀終盤まではアメリカの独擅場だった外惑星探査にも、1997年、すでに豊富な実績のあるアメリカとの国際共同という形であるが、土星探査機のカッシーニによって欧州宇宙機関の本格的な外惑星探査への参入が始まり、遅れて同様に、日本の宇宙航空研究開発機構も、アメリカ、欧州との3機関国際共同プロジェクトとして、2020年頃の木星圏探査機ラプラスによって、外惑星探査に参入する予定である。
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