外務省機密費流用事件とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > できごと > 事件・事故 > 事件・事故 > 平成時代の事件 > 外務省機密費流用事件の意味・解説 

外務省機密費流用事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 05:37 UTC 版)

外務省機密費流用事件(がいむしょうきみつひりゅうようじけん)とは2001年に発覚した事件。

概要

松尾克俊1993年10月10日から1999年8月16日まで外務省の要人外国訪問支援室長に在任し、46回の首相外遊を担当。9億8800万円にのぼる官房機密費を受領していた。このうち約7億円が詐取。そこから競走馬(大井所属)14頭、サンデーサイレンスの種付け権、ゴルフ会員権、高級マンション、女性への現金に浪費していた。

2001年に機密費流用問題が発覚し、松尾は懲戒免職された。また加藤利男内閣府大臣官房会計課長名により、警視庁刑事部捜査二課被害届が出され、詐欺罪で松尾が逮捕された[1]。立件されたのは5億円以上にものぼった。

小泉純一郎首相の意向で、横領時の事務次官である斎藤邦彦国際協力事業団総裁、林貞行駐英大使、柳井俊二駐米大使、川島裕事務次官の4人及び、飯村豊官房長が更迭された[2]。また外務省の再発防止策の一環として、要人外国訪問支援室の廃止がなされた[3]

事件後、事務次官経験者が駐アメリカ合衆国特命全権大使に就任するという従来の慣行が踏襲されない状態が11年間続いていたが、2012年に佐々江賢一郎事務次官が駐米大使に就任した[4]

2002年3月に、東京地方裁判所は松尾に懲役7年6カ月の判決を下し、東京地裁の決定が確定判決となった。

刑事裁判の確定後、松尾は自宅マンションを売却するなどして所有財産のほとんど全てにあたる計約2億7000万円を国に返還した。

処分

外務省では以下の処分は行われた。

  • 阿部知之 - 大臣官房長として、調査にあたっていたが、過労のため入院し退任した。懲戒減給処分。
  • 木寺昌人 - 大臣官房会計課長として、調査にあたっていたが、過労のため入院し退任した。
  • 竹内春久 - 大臣官房総務課長として、調査にあたっていたが、過労のため入院し退任した。懲戒減給処分。
  • 飯村豊 - 退任した阿部前大臣官房長の後任の大臣官房長であり、監査・調査にあたった。更迭。
  • 鈴木敏郎 - 退任した木寺前大臣官房会計課長の後任の大臣官房会計課長であり、監査・調査にあたった。
  • 谷崎泰明- 退任した竹内前大臣官房総務課長の後任の大臣官房総務課長であり、監査・調査にあたった。
  • 河野洋平外務大臣 - 厳重注意処分、給与自主返納。
  • 衛藤征士郎外務副大臣 - 厳重注意処分。
  • 荒木清寛外務副大臣 - 厳重注意処分。
  • 川島裕事務次官 - 懲戒減給処分、更迭。
  • 斎藤邦彦JICA総裁 - 給与自主返納、更迭(事件時の事務次官として)。
  • 林貞行駐英大使 - 厳重訓戒処分、給与自主返納、更迭(事件時の事務次官として)。
  • 柳井俊二駐米大使 - 厳重訓戒処分、給与自主返納、更迭(事件時の事務次官として)。
  • 池田維駐蘭大使 - 厳重訓戒処分、給与自主返納(事件時の官房長として)。
  • 原口幸市ジュネーブ代表部大使 - 厳重訓戒処分、給与自主返納(事件時の官房長として)。
  • 浦部和好内閣官房副長官補 - 厳重訓戒処分、給与自主返納(事件時の官房長として)。
  • 西村六善OECD大使 - 厳重訓戒処分、給与自主返納(事件時の総務課長として)。
  • 薮中三十二シカゴ総領事 - 懲戒減給処分(事件時の総務課長として)。
  • 堂道秀明インドネシア公使 - 懲戒減給処分(事件時の総務課長として)。
  • 塩尻孝二郎経済局審議官 - 懲戒減給処分(事件時の総務課長として)。[5]

参考文献

関連書

脚注

  1. ^ 朝日新聞2001年2月1日
  2. ^ 「<小泉首相>田中外相要望の人事先送りは認めず やま場を迎える」毎日新聞2001年8月2日
  3. ^ 「機密費の舞台、ひっそりと幕 要人外国訪問支援室廃止」2001.01.31(22:00)asahi.com
  4. ^ 「米大使に佐々江次官決定 中韓大使に外務審議官」朝日新聞2012年9月11日12時20分
  5. ^ 「外務省幹部の処分内容」毎日新聞2001年1月26日
  6. ^ 連続ドラマW 石つぶて~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~ WOWOW INC.

関連項目

外部リンク


外務省機密費流用事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 02:27 UTC 版)

松尾克俊」の記事における「外務省機密費流用事件」の解説

「外務省機密費流用事件」も参照 1997年3月週刊ポストに、「外務省機密費流用している官僚がいる」と報じられるその後鈴木宗男警察幹部から「九州沖縄サミット経理調べたら億単位の金を着服しいるらしい外務省自主的に処分した刑事事件にしない」と情報入り、これを鈴木から聞いた佐藤優齋木昭隆人事課長に報告鈴木阿部知之官房長電話2001年1月1日読売新聞一面で、機密費流用疑惑報道3月10日首相外遊宿泊費水増しし内閣官房機密費約4200万円詐取したとして逮捕2002年3月12日東京地方裁判所懲役7年6ヶ月求刑10年)の実刑判決被害額は約4億8千万円のうち3億円を自己弁済

※この「外務省機密費流用事件」の解説は、「松尾克俊」の解説の一部です。
「外務省機密費流用事件」を含む「松尾克俊」の記事については、「松尾克俊」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「外務省機密費流用事件」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「外務省機密費流用事件」の関連用語

外務省機密費流用事件のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



外務省機密費流用事件のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの外務省機密費流用事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの松尾克俊 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS