外分泌部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 04:22 UTC 版)
外分泌部の構造は、唾液腺に似ている。膵液を分泌する細胞は、十数個でひとつの腺房と呼ばれる丸い塊を構成し、その内側のせまい隙間に膵液を分泌する。腺房にはごく細い導管(分枝膵管)がつながっており、分枝膵管は次第に合流し、膵液を主膵管と副膵管へと導く。分泌された膵液はファーター乳頭(大十二指腸乳頭)および副乳頭(小十二指腸乳頭)から十二指腸へと送り出される。 膵液は、この外分泌細胞の分泌液であり、腺房細胞より分泌された多種類の消化酵素を含む分泌液と、導管部より分泌されたアルカリ性の分泌液の混合物である。消化酵素の多くは活性を持たない前駆体(例えばキモトリプシノーゲン)として分泌され、これが胃液中のペプシンや小腸上皮の刷子縁に存在するペプチダーゼの働きで部分分解される事で、活性を持った酵素(例えばキモトリプシン)となる。これは、強力な分解酵素である膵酵素によって膵臓自身が消化されてしまわないようにするためと考えられている。 膵管の閉塞による膵液の鬱滞やその他何らかの原因によって膵臓内で膵酵素が活性化されてしまうと、膵臓自身の自家消化が生じ、急性膵炎を生じる場合がある。膵液中にはタンパク質分解酵素であるキモトリプシンやトリプシン、炭水化物の分解に働く膵液アミラーゼ、脂質の分解に働くリパーゼなどが含まれており、食物の大雑把な分解に寄与する。すなわち、タンパク質やデンプンをそれぞれオリゴペプチド(ペプチド)やマルトースまで分解する。この後の消化は小腸上皮の刷子縁に存在する酵素の役割である。 膵酵素の至適pHは、ややアルカリ側に偏っており、膵液中の高濃度の重炭酸塩が強い酸性である胃液を中和して消化酵素の働きを助ける。血中のアミラーゼやリパーゼは膵炎のマーカーとして用いられる。この酵素は、身体の他の部位でも産生されるため、例えば血清アミラーゼの上昇が、すなわち膵炎の存在を示すと解釈することはできない。免疫学的に膵液アミラーゼと唾液アミラーゼ(プチアリン)などを区別する事も可能であるが、必ずしも総ての病院で可能であるわけではない。そのため、血清アミラーゼの解釈には注意を要する。一方、血清リパーゼは比較的膵臓の異常に対して、特異度が高いと言われている。
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