変種と分布域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/04 21:10 UTC 版)
種(species)としてのマメザクラの下位分類の変種(variety)には、南関東から中部にかけて分布する変種としてのマメザクラ、北陸から近畿に分布するキンキマメザクラ(近畿豆桜)、北関東に分布するブコウマメザクラ(武甲豆桜)の3つに分けられる。 変種のマメザクラの分布域は富士山周辺であり、この地で大きな群落を作っており、別名「フジザクラ」の由来にもなっている。本州のフォッサマグナ地域周辺の富士山・八ヶ岳・金峰山などの山梨県を中心に分布するマメザクラは、標高1000m以上の冷温帯から亜高山帯にかけての森林帯に自生しており、火山性の岩石地に高い密集度で群落を作っていて、2m程度の低木で花と葉をつける。一方、伊豆半島以東に分布するマメザクラは、標高1000m以下に自生し、房総半島などでは海岸近くに自生し、4mを超える比較的大型の個体が多い。これらの個体は変異が大きく、産地ごとに花色・花形・花の大きさのほかにも葉や萼筒に違いがあるため、今後はそれぞれ別の変種として区分されることが検討されうる。平均的なものの樹形は傘状で低木。一重咲きで淡紅色の小輪の花を咲かせ、東京基準の花期は3月中旬。 変種のキンキマメザクラは、本州中部以西の北陸から近畿にかけて分布していて主に日本海側の山地に分布している。変種のマメザクラと同じく個体による変異が大きく、北陸地方に分布するものは花が大輪で白色、長野県南部や京都府大江山のものは花が小輪で淡紅色のものが多い。平均的なものの樹形は広卵状で低木。一重咲きで白色の小輪の花を咲かせ、東京基準の花期は3月中旬。 変種のブコウマメザクラは、おそらく数百個体しかないため絶滅危惧に指定されており、奥多摩・秩父・妙義山に分布し、石灰岩地に自生していることが多い。石灰岩地は栄養分のある土壌が発達しないため珍しい植物が自生していることが多く、オオヤマザクラの変種のキリタチヤマザクラも石灰岩地に自生する珍しいサクラである。
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