堆肥の品質基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 14:05 UTC 版)
家畜ふん堆肥など堆肥の原料は様々で、肥料成分も多様であり、堆肥の使用目的や要求される条件も異なるため、どの堆肥がよいかは作物や土壌の状況に合わせて総合的に判断する必要がある。堆肥を作る立場では流通・散布時の取り扱いやすさが重視されるため、発酵が進み、水分が少なく、手触りがサラサラとしていて、においが少ないほうがよい堆肥とされる。また、堆肥を使う立場では、堆肥の肥料成分や土壌改良効果、安全性、価格や入手面のコストが重視され、堆肥に期待する効果が肥料成分の供給か土壌改良(土壌の物理性の改良)かによっても異なる。 有機物 「家畜ふん堆肥の推奨基準」(全国農業協同組合連合会、1994年)での推奨基準値は60%以上である。 C/N比 堆肥中の炭素と窒素の割合を示したもの。堆肥中の炭素は炭水化物に由来し、わらや落ち葉、おがくず、バークなど植物質を主原料とする堆肥は炭素を多く含むためC/N比の値が大きい。一方、たい肥中の窒素はたんぱく質に由来し、家畜糞や肉や魚の残さなど動物質を主原料とする堆肥は窒素が多いためC/N比の値が小さい。 窒素が多くC/N比の値が小さい堆肥は「肥料効果型」の堆肥とされている。ただし、C/N比の値が小さすぎると発芽時の濃度障害、根の発達不良、土壌病害発生などを起こすおそれがある。 窒素が少なくC/N比の値が大きい堆肥は、土の団粒化による通気性や保水性の改善に効果がある「根づくり効果型」の堆肥とされている。ただし、C/N比の値が大きすぎると有機物分解のために窒素が消費されてしまい作物が成長不良となるおそれがある。「家畜ふん堆肥の推奨基準」(全国農業協同組合連合会、1994年)での推奨基準値は30以下である。 重金属濃度 銅と亜鉛の濃度。これらは、作物にとって必要な微量要素であるが多すぎると作物に害を与える。「家畜ふん堆肥の推奨基準」(全国農業協同組合連合会、1994年)での推奨基準値は銅600ppm以下、亜鉛1,800ppm以下である。 電気伝導率(EC) 堆肥に含まれるイオンの量。「家畜ふん堆肥の推奨基準」(全国農業協同組合連合会、1994年)での推奨基準値は5.0dS/m以下である。
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