地山と流出土砂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 03:02 UTC 版)
「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の記事における「地山と流出土砂」の解説
広島県は県域の70%を山地が占める。地形を大別すると、中国山地を北域として高位である中国脊梁面-中位の吉備高原面-下位の瀬戸内面の3つからなる。広島湾周辺を中心とした県西部に見られる傾向として、南西から北東方向、つまり右肩あがりで山列・断層谷が発達し、3つの地形が階段状に形成され、平野部が少ないという特徴がある。1999年災害、2014年災害の被災地が右肩上がりなのはこうした地形的特徴に起因する。 また広島県は土砂災害危険箇所数が約3万2,000か所と全国で飛び抜けて多い県である事実がある。その理由としては、平野部が少ないため山裾ギリギリまで宅地開発してきた点が挙げられる。もうひとつの理由として、県土の48%を「広島型花崗岩」が占め、瀬戸内海式気候であることから花崗岩の風化が進行しやすいため、その風化残留土であり土砂災害に弱い「まさ土」が生まれやすい環境にある点が挙げられる。 可部東五丁目。花崗岩起源のまさ土の流出。 八木八丁目国道54号太田川橋の阿武山側。付加体堆積岩の流出。 今回の被災地一帯も白亜紀の広島型花崗岩が大部分を占める。この花崗岩の上部に、太田川中流域-阿武山-三篠川流域と北西から南東方向に沿ってジュラ紀の付加体(変成岩のホルンフェルスやチャートなどの堆積岩)、可部の白木山周辺から北東に向かって白亜紀の高田流紋岩が分布、さらに右肩上がりに断層帯が存在しており、比較的複雑な地形である。この土砂災害の大部分が広島型花崗岩起源のまさ土によるものであるため広島特有の問題と報道された が、それ以外である付加体斜面での規模の大きなものや高田流紋岩のものも発生している。 この土砂災害では土石流が多かった。非常に強い雨が降ったため地中に浸透する前に地表を流れて渓流に流れ込んで土石流が発生した、特に規模の大きなものは先行降雨によって地山に地下水が飽和していたところへ非常に強い雨が降ったため被圧された地下水が土砂や岩を押し出した表層崩壊と考えられている。 2014年災害の土砂災害数(箇所)-土石流がけ崩れ計安佐北区39 20 59 安佐南区67 36 103 その他の区1 3 4 合計107 59 166
※この「地山と流出土砂」の解説は、「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の解説の一部です。
「地山と流出土砂」を含む「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の記事については、「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の概要を参照ください。
- 地山と流出土砂のページへのリンク