地域医療への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 22:31 UTC 版)
マッチング制度の導入によって、研修先を自由に選べるようになった結果、研修医は都市部へ集中し、地方の医師数は(病院数および患者数に対して)決定的に不足している。さらに、研修医のアルバイトが禁じられることで、夜間および休日の当直業務を行う医師の確保が非常に困難となっている。また、労働力としての研修医を多く抱えることのできなくなった大学病院が人手確保のため関連病院へ派遣した医師を引き上げ始めており、人口過疎地では医療そのものが成り立たなくなるなどの問題も出始めている。このため、2009年4月より、大学病院に限り、地域医療に影響を及ぼしている診療科について、特別コースに基づいた研修プログラムを実施できるようになった。また、2010年4月からは臨床研修の必修科目を内科や救急など数科目に絞り、期間を実質1年間に短縮し、2年目から志望科で研修させることで医師不足に対応するプログラムも実施可能となった。 もっとも今までの医局人事が崩壊しつつあることで、病院の経営者である医療法人や地方自治体は地元医学部に気を使うことなく採用活動を行うことが可能になり、特に地方の病院は新人研修医に対して各大学で説明会を開いたり、病院見学会を行うなど積極的な求人活動を行うようになった。今までのブラックボックス的医局人事を捨て、病院経営者による自主的な人事権の行使による公正な病院作りが可能となるか、注目されている。 また、和田秀樹(精神科医・国際医療福祉大学教授)は「実は現行の臨床研修制度が始まってから、研修医がいちばん増えたのは沖縄県、2番が岩手県、3位が島根県で、むしろ東京の研修医は2割も減っている」と主張している。
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