国有資産の売却
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:10 UTC 版)
国が保有する資産の内、金融資産は428兆円(現金・預金17.7兆円、有価証券97.6兆円、貸付金142.9兆円、運用寄託金110.5兆円、出資金59.3兆円)である(2011年度「国の財務書類(一般会計・特別会計)」参照)。 賛成論 財政当局は1000兆円もの負債を抱えていると、金利が上昇したときの利払費が大変になるという。ならば、資産を処分して負債を圧縮すればいい。国の資産処分は財政危機に陥った国ならどこでもやっている。国には総計で500兆円ほどの資産があるが少なくとも350兆円は売却可能である。2007年度の国のバランスシートを見ると、そのうちの有価証券・現預金は130兆円。特殊法人等への貸付金・出資が250兆円は特殊法人廃止などで取り崩し可能である。日本政府の資産を売却、または年金資産は国民に還元していけば、グロスの政府債務は縮小していく。外貨証券(82兆円)・財政融資資金貸付金(139兆円)をこれほど多く持っている先進国はない(2014年11月時点)。 埋蔵金を取り崩した分で国債発行を抑制できるのは一度きりであり、他の条件が一定であれば、翌年以降の国債発行額は元に戻ってしまう。借金を返済したからといって税収は増えない。ただし、埋蔵金の取り崩しが無意味だと結論づけるのは誤りである。埋蔵金の取り崩しの効果として、1)政府の総債務残高を増加させない、2)埋蔵金の存在を明らかにしたことによって財政改革につながる、3)財政の中期プランを実行するための議論に使える時間を確保できる。 反対論 金融資産が600兆円あるといっても、全部が売れるわけではない。債務に見合った金融資産をもたず、税収などで返済されるという前提になっている借金である国と地方の長期債務残高が977兆円(2013年度末見込み)ある。売れるものを売ったとしても、この3分の1も返せない。重要なのは、1998年度末の長期債務は533兆円とここ15年でほぼ倍増していることだ。しかし増加した約450兆円の借金はたんに消費されたものが大半で、資産はほとんど増えていない。増えた債務だけを考えれば、明らかに資産と負債は見合っていない。
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