周辺言語に残る入声
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 05:42 UTC 版)
ベトナム語では、-p、-t、-ch、-c があり、第3声と第6声のみをとる。軟口蓋音 -c は鼻音 -ng と同様、一部が硬口蓋音 (-ch、-nh) に変化している。 朝鮮語では -p(終声ㅂ)、-l(終声ㄹ)、-k(終声ㄱ) があり、-t が -l に変化している。ただし、朝鮮語の発音規則により、後ろに音節がある時に、「욕망」(欲望、yongmang)や「십오」(十五、sibo)のように鼻音や初声として発音する場合もある。 日本語の漢字音における音読みでは、-i か-u の母音が挿入され、字音仮名遣で[フ・ク・ツ・チ・キ]で終わるものがほぼ入声であると考えてよい。これらは学校が「ガクコウ」ではなく、「ガッコウ」になるように、無声子音の前では、元の形の近い音価を残している。室町時代には-tの入声があり、例えば「念仏」はNembut、「念仏は」はNembuttaと発音された。現代語でも、「雪隠」set-in などにその名残が見られる。入声は仄声に属するため、「フクツチキに平字無し」という言葉がある。 親字推定中古音呉音漢音普通話廈門語広東語客家語贛語呉語/上海語南京官話晋語朝鮮語ベトナム語合 [ɣɑp] ガフ カフ hé hap⁸ hap⁹ hap [hot̚] [ɦəʔ] ho⁵ [xo˥] [xaʔ] hap 합 hợp 十 [ʑip] ジフ シフ shí sip⁸ / chap⁸ sap⁹ sṳp⁵ [set̚] [zəʔ] shr⁵ [ʂʅ˥] [səʔ] sip 십 thập 佛 [bɪuət] ブツ フツ fó hut⁸ / put⁸ fat⁹ fut⁵ [fut̚] [vəʔ] fu⁵ [fu˥] [fəʔ] bul 불 phật 八 [pat] ハチ ハツ bā pat⁴ / pueh⁴ baat⁸ pat [pat̚] [paʔ] ba⁵ [pa˥] [paʔ] pal 팔 bát 易(かえる) [jɐk] ヤク エキ yì ek⁸ yik⁹ yit⁵ [ik̚] [iɪʔ] i⁵ [i˥] [iəʔ] yeok 역 dịch 客 [kʰɪɐk] キャク カク kè khek⁴ / kheh⁴ haak⁸ hak [kʰak̚] [kaʔ] kä⁵ [kʰɛ˥] [kʰaʔ] gaek 객 khách
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