原告と被告の主張対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 03:12 UTC 版)
「パロディ・モンタージュ写真事件」の記事における「原告と被告の主張対立」の解説
まず、フォトモンタージュ技法に対する捉え方が双方で大きく異なる。白川はアマノの行為を「ほしいままトリミング (カツト) している」とし、盗用とみなした。さらに右上部にタイヤを合成した行為は「偽作」であると主張した。一方のアマノは、独自の思想・感情を反映しており、異質なイメージの既存素材を組み合わせることで、別次元の表現へと飛躍させたとしている。フォトモンタージュ技法は世界的にも広く芸術表現として認められているとして、スイスのダダイストたちが実際に数多くのモンタージュ写真作品を手掛けてきたことや、フォトモンタージュが絵画のコラージュ手法から派生してきており、ジョルジュ・ブラックやパブロ・ピカソといった著名画家らの名を挙げて例証している。フォトモンタージュは旧30条の節録引用に該当し、また現32条1項の引用要件として示されている「公正な慣行」に合致し、かつ美術的批判や社会風刺を目的としているとアマノ側は主張した。 事前許諾を巡っても、双方の意見は対立している。白川側は、原著作物を利用する際に事前許諾が必要と認識していながら、無断でアマノは利用・改変してモンタージュ写真を創作したと主張した。これに対してアマノ側は、モンタージュに用いたのは『SKI '67第四集』ではなく、白川の氏名が表示されていないAIUの広告カレンダー写真であり、原著作物の著作者が白川であると事前に知る由もなかったと反論した。 また、モンタージュ写真が名誉棄損に当たるのかについても、双方の見解は食い違いを見せている。アマノのモンタージュ写真は白川の創作意図を破壊し、茶化して侮辱するものであると白川に受け取られた。社会的な評判が貶められたことから、将来的な作品創作活動にも支障をきたすと白川側は抗議している。しかしアマノ側は、自動車公害を風刺することがモンタージュ写真の目的であり、白川の原著作物の創作意図を破壊したり茶化して侮辱するものではないと反論した。
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