厚生労働事務官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 13:19 UTC 版)
厚生労働事務官は、国家公務員一般職試験に合格して都道府県労働局をまとめたブロック単位で採用され、同一のブロック内の都道府県労働局で勤務していく。中には労働基準監督官(通常、労働基準監督官試験の合格が必要である。)や厚生労働技官に転官し、労働基準監督署長、安全衛生課長等を務める者もいる。厚生労働事務官は、庶務などの管理部門・労災補償部門・保険関係成立の適用部門・徴収部門を相互に異動し、場合によっては労働基準の相談・調査部門に配置されて労働基準監督官の業務補助の一部を行うこともある。労災補償調査時には、請求者との面接等によって確認して、診療費の支給や休業補償の支給可否、障害の等級を定めるので、医学的知識の習得が不可欠だが、一般の公務員と同じ試験のレベルで文科系の者がほとんどである。労働保険(労災・雇用)の保険料の徴収に関する事務を扱う厚生労働事務官は、所管の労働保険の保険料の徴収等に関する法律により(国税徴収法の準用規定がある。)、国税徴収法上の徴収職員として都道府県労働局長から任命され、滞納処分の一環として捜索・差押えを令状なしで執行する権限をもつ。差押えは頻繁に執行する一方で、捜索まで実施するケースは限定されている。これは、他の税金や年金保険料と異なって、金額が少額であることから債権差押えで完結となるケースが多いからでもあるが、捜索をする能力のある職員がほとんどいないことが主要な要因である。徴収職員である厚生労働事務官は、各人が独立した権限をもち、(都道府県によって異なる場合もあるが)おおむね労働局総務部(労働保険徴収部)労働保険徴収課(室)と所轄の労働基準監督署に配置されて、滞納処分と滞納整理に関する事務を行っている。補償部門も徴収部門も、専門的な知識が必要とされる。
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