博物館の展示環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 22:40 UTC 版)
博物館においては保存科学(en:Conservation science (cultural property))の観点から展示室や収蔵庫において収蔵品に影響を与えうる温度や湿度、光、空気質、振動、害虫等の生物被害などの諸要素に関して考慮した収蔵・展示環境づくりが行われる。 展示室の温度は一般に空調を利用して20℃前後に保たれ、四季を通じての外気温との温度差を低く保つことを理想とする。温度と相関して湿度も重要な要素で、結露は金属製品に錆を生じさせ、急激な温度・湿度変化は日本画などに破損を生じさせる原因となる。光は紫外線が顔料や染料の退色を生じさせ、有機質を劣化させる要因であるが鑑賞者の便宜のためには展示照明が必要であり、紫外線や赤外線をカットした蛍光灯などが用いられ、光の強さも考慮される。 空気質は大気中の汚染物質が入り込まないよう換気や空調を用いたり、出入り口を二重化したりするなど施設面でも対策が行われる。また、施設内部においてもホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)など建材や展示ケースに用いる接着剤などから汚染物質が発生し、入館者を通じても靴底の土や髪の毛・皮膚など害虫の餌となる有機物が持ち込まれるため、換気や清掃が徹底される。 生物被害はネズミなど小動物による被害をはじめ昆虫類による被害、カビなど微生物による被害がある。害虫による被害はゴキブリ、シミ、タバコシバンムシ、カツオブシムシ、ヒラタキクイムシ、シロアリなどがあり、カビは日本画や書籍に使われている糊などを栄養源に発生する。これらの生物被害に対しては、一般的に燻蒸による駆除が行われる。
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