南極における軍事行動とは? わかりやすく解説

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南極における軍事行動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/02 02:47 UTC 版)

南極における軍事行動(なんきょくにおけるぐんじこうどう)は歴史上まれである。これは、南極大陸に人間が定住したことがなく、1961年6月23日に発効した南極条約が南極での軍事行動を禁止しているためである。南極に軍人が立ち入ったり、軍備を持ち込んだりすることは、科学的な調査研究や食料の供給など平和的な目的の場合にしか許されない[1]

南極条約は特に、南緯60度線以南の陸地や棚氷における軍事行動を禁止している。核兵器の使用は絶対的に禁止されているが、南極条約の適用となる海域(南極海)で海軍が活動することは、それが公海上で行われるものである限り本条約の禁止するものではない。

主要な活動

多くの国の軍隊や軍事組織が南極の基地やそこで行われる科学的な研究活動を支援するために南極を訪れている。著名な活動や探検には以下のようなものがある。

将来の軍事衝突の可能性

ジョン・キーガンとアンドリュー・ウィートクロフトは1986年の共著Zones of Conflict: An Atlas of Future Warsにおいて、南極に軍事的な興味を示す国が現れるとした場合、その原因は経済的な理由と戦略的な理由の2通りが考えられると述べた。南極大陸は、主に鉱産資源原油の面において、莫大な経済的な価値を潜在的に持っている。戦略的には、冷戦中、とりわけパナマ運河を通航することができないアメリカ軍の航空母艦について、ホーン岬を通るルートを自由に通航可能な状態に保つことができるかどうかの懸念が継続的に存在していた。キーガンとウィートクロフトはフォークランド諸島ドレーク海峡を支配すると述べ、「伸びる荒れた水が南アメリカを南極と分けている」と綴った。これはフォークランド戦争中はあまり明らかになっていなかったことであった[6]

しかし、ソビエト連邦の崩壊化石燃料を巡る競争の激化に伴い、戦略的な理由より経済的な理由の方が今後はより重要になる可能性が高いと、21世紀初頭には考えられるようになった[7]

脚注

  1. ^ the Antarctic Treaty Secretariat. “The Antarctic Treaty”. 2023年1月31日閲覧。
  2. ^ Asmussen, John. “Hilfskreuzer (Auxiliary Cruiser) Komet”. 2007年1月21日閲覧。
  3. ^ HMAS Wyatt Earp”. Sea Power Centre Australia. 2008年9月16日閲覧。
  4. ^ “RNZAF Orion Lands on Antarctica” (プレスリリース), New Zealand Defence Force, (2006年1月17日), http://www.nzdf.mil.nz/news/media-releases/20060117-rnzafoloa.htm 2007年1月25日閲覧。 
  5. ^ “Air Force conducts early ice flight” (プレスリリース), New Zealand Defence Force, (2008年10月30日), http://www.nzdf.mil.nz/news/media-releases/20081030-aceif.htm 2008年10月31日閲覧。 
  6. ^ Keegan, John; Andrew Wheatcroft (1986). Zones of Conflict: An Atlas of Future Wars. New York: Simon and Schuster. ISBN 0-671-60115-6. https://archive.org/details/zonesofconflict00john 
  7. ^ Bergin, Anthony (2007年2月20日). “Six reasons Antarctica is crucial”. Australian Financial Review. pp. 63 



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