南天サーベイ
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1958年版カタログのカバレージは、オリジナルのPOSSの限界のため、赤緯 –27°までであった。これや他の欠点を是正するため、オリジナルのカタログは後で見直しと、オリジナルのカタログでは除外されていた南天の部分リッチな銀河団の追加のカタログである「南天サーベイ」による補訂が行なわれた。 南天サーベイはエイベルのオリジナルの北天サーベイに1361のリッチな銀河団を付け加えた。このサーベイでは Southern Sky Survey (SSS) の深宇宙を撮影した IIIa-J 乾板が使用された。これらの写真乾板は1970年代にサイディング・スプリング天文台 ( オーストラリア)の1.2mシュミット式望遠鏡を用いて撮影されたものである。エイベルはこのサーベイをエディンバラで過ごした1年のサバティカル (長期休暇)の間に着手した。 彼はそこでエディンバラ大学のハロルド・コーウィン (Harold G Corwin) の助力を得ることができた。Corwin はこのカタログに1981年 (この時点では彼はテキサス大学オースティン校の天文学科の一員であった) まで取り組むことになった。1981年時点でサーベイの約半分が終了していた。南天サーベイについての暫定論文が1983年に開催されたあるシンポジウムで発表されたが、これはエイベルの死の約1ヶ月前のことであった。その後カタログはオクラホマ大学のロナルド・オロウィン (Ronald P Olowin) によって完成され、1989年に出版された。 エイベルとコーウィンはエディンバラ王立天文台 (en:Royal Observatory, Edinburgh) に保存されていたオリジナルの乾板を用いて3倍の拡大鏡で肉眼で精査した。一方、オロウィンは高品質のフィルムコピーを用いて、7倍の拡大鏡による肉眼での精査と、デジタイザーによる自動走査を行なった。 エイベルの北天サーベイでの採用基準は踏襲され、エイベルのリッチネスと距離に関する分類法も従前のままであった。ただし、距離分類は今度は等級ではなく赤方偏移で定義されることになった。銀河団の採用基準は以前と同様ではあるが、今回は最低30の明るい銀河を含めば採用することとした。これは、この基準であれば、本当にリッチな銀河団 (すなわち、最低50個の明るい銀河を含む銀河団) を誤って除外する可能性を排除できると評価されたからである。 南天サーベイではエイベルがオリジナルのカタログのために考案した命名方法も維持された、番号は2713から4076が割り振られた (このカタログは3つの重複する記載を含んでいる:A3208 = A3207、A3833 = A3832、および A3897 = A2462 である)。赤道座標は 1950年分点と2000年分点について与えられているが、銀河座標は1950年分点の赤道座標から計算されたものである。 エイベルのオリジナルのカタログ (改訂、修正、更新版) は1989年の論文で発表された。論文はこれ以外に、エイベル補遺 (Abell Supplement) カタログとして、南天サーベイのうち距離とリッチネスが本カタログの採用基準に満たない1174の銀河団のカタログを含む。
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