医療被曝の線量限度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 05:37 UTC 版)
放射線防護のため、1990年の国際放射線防護委員会(International Comission on Radiation Protection: ICRP)の勧告に準拠し、日本でも被曝線量限度が法令により定められているが、医療の目的で電離放射線を患者に曝射する場合に限っては、線量限度の法的な定めはない。これは、被曝する本人がその被曝する行為によって診断や治療といった直接の利益を受けるからである。言い換えると、患者が医学的利益を享受する場合には、被曝線量にかかわらず医療被曝が正当化されるということである。これは医療被曝の線量限度を法令で定めてしまうと、国民が適切な医療を受ける機会を失うことと同値である。こうした特殊性から、その他の被曝(職業被曝・公衆被曝)と同列に比較されるべきではない。。(放射線を人体に対して照射する判断は医師および歯科医師のみ可能であり、診療放射線技師は医師又は歯科医師の指示がなければ放射線を人体に対して照射することが許されない。)しかしながら結果論ではあるが、放射線診断で健康と診断された場合は被曝という害と健康であるという安心のみが残される事になる。二次予防を目的とした検診における放射線診断では、被曝によるリスクを考慮したガイドラインが設定されている。 ただし、医療被曝の「正当化」および「最適化」がなされた上で、被曝が必要最小限となるように行われる必要がある。 放射線医療による、病気の診断・治療を「主作用」としたとき、医療被曝による生物学的影響のうち好ましくないものを、医療用薬剤になぞらえて「副作用」とも見なしうる。放射線医療は治療によって患者が得る利益と害(リスク)を考慮して、医師・歯科医師が有益と判断して施される。(例えば、95%以上の確率で治療が奏功し、回復困難な有害事象を生じる確率が5%以下である、など。)
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