前哨地の消失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 01:35 UTC 版)
発見物をいくつか持ち帰ったゴードンは、館長職を代理の者に任せ、研究に注力する。一方で、博物館の周囲100ヤードで、現代式の電気仕掛けの時計を除いた「あらゆる時計」が、止まったまま動かなくなるという現象が起こる。どうやら原因は、3人が前哨地から持ち帰った特殊な金属によるものであるらしい。ゴードンは布状の金属が備えている優れた様々な性質に強い興味を示す。 ゴードンは仮説を立てる。曰く、ミスカトニック大学が発見した古代都市が消失したのは、自然現象ではなく人為的な転移であるという。つまり南極地震は陥没のせいではなく、旧支配者が都市を「大西洋の底に移動させた」ために起こったのだという。ホモサピエンスに発見されてしまったことを、旧支配者は恐れたのである。つまりこのままだと「前哨地」も移動させらてしまうことを意味する。3人の大発見の場所が消えてしまい、持ち帰った品物は捏造品だと思われ、考古学上の名声はなくなるだろう。3人は、もう一度「前哨地」に行って、持ち帰れる限りの物品を持ち帰ってくることと、証拠に動画を撮影してくることを決める。 事が起こったとき、私は自室にアーサーを宿泊させ、2人で出発の準備をしていた。私が戦利品の小像に触れていると、前触れもなく、小像が目の前で「触れていた私の指先もろとも、消失した」。血が迸り、私にはわけがわからなかったが、混乱した頭で応急手当をする。 一方でゴードンは、あの金属の布でスーツを作らせていた。旧支配者のテクノロジーが前哨地と関連物全てを空間移動させたときも、ゴードンはそれを着ていたのである。私とアーサーがゴードンの研究室で見た物は、頭部と両手と両足をなめらかに切断されたゴードンの遺骸と、血だまりであった。 その日イギリスの某地方を襲った地震は、旧支配者が前哨地を転移させた余波で起こったものである。ゴードンは死に、私は指を失い、アーサーは心的外傷を負った。
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