初演時のエピソード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/23 15:10 UTC 版)
「交響曲第5番 (ショスタコーヴィチ)」の記事における「初演時のエピソード」の解説
リハーサルでムラヴィンスキーとショスタコーヴィチは初めて顔を合わせたが、ムラヴィンスキーの質問に対して作曲者は何も答えず、双方とも険悪な雰囲気であった。困惑したムラヴィンスキーはわざと無茶苦茶なテンポで曲を演奏し、ショスタコーヴィチに「そうじゃない!」と言わせることに成功した。これ以降、両者の意思伝達が進み、いつしか仲良く協力し合うようになった。リハーサルが進むにつれ評判が上がり、初演時には満員となっていた。 フィナーレの途中から興奮した観客が自然に立ち上がり、終わると猛烈なスタンディングオベーションとなり、 「荒れ狂ったような喝采を可哀想なミーシャ(ショスタコーヴィチ)を陥れたすべての迫害に対するデモンストレーションのような喝采を送った。みな、同じフレーズを繰り返した。『(プレッシャーに)答えた。立派に答えた。』ショスタコーヴィッチは下唇を噛みながら舞台に現れたが、泣いているかのようであった」(シャポーリン夫人) と証言のような騒ぎとなった。かえって体制への抗議活動と見なされることを恐れた関係者の機転で、作曲者は裏口から脱出したが、体制側はこの作品を歓迎し、ソ連作家同盟議長アレクセイ・トルストイの論文で絶賛された。 初演直後、ショスタコーヴィチ本人は、友人の指揮者ボリス・ハイキンに「フィナーレを長調のフォルテシモにしたからよかった。もし、短調のピアニッシモだったらどうなっていたか。考えただけでも面白いね」と皮肉っぽいコメントを残している。
※この「初演時のエピソード」の解説は、「交響曲第5番 (ショスタコーヴィチ)」の解説の一部です。
「初演時のエピソード」を含む「交響曲第5番 (ショスタコーヴィチ)」の記事については、「交響曲第5番 (ショスタコーヴィチ)」の概要を参照ください。
- 初演時のエピソードのページへのリンク