初演後の評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 21:11 UTC 版)
「弦楽のためのレクイエム」の記事における「初演後の評価」の解説
初演に対する聴衆の反応は芳しくなく、批評も一部を除き冷ややかなものであった。前衛的な要素が理解されなかったというわけではなく、評論家の園部三郎は6月24日付けの読売新聞において「日ごろ、実験主義的主張をしている武満氏の作品としては、意外に素直な作風で驚かされた。」と記している。 武満自身は後に『弦楽のためのレクイエム』を「私が作曲家として書いた最初の作品」と位置づけているが、初演直後には作品に満足しておらず、当時の心境を振り返って次のように述べている。 いろんな意味で『レクイエム』は満足できる作品ではありませんでした。第一にあまりに情緒的でした。あまりに個人的な思い入れに押し流されて書いていました。自分のパーソナルな感情を単純に表現するだけのロマンチシズムに終わっていました。 このような不満を背景として作曲された作品が翌1958年の『ソン・カリグラフィ』であり、『弦楽のためのレクイエム』とは対照的に厳格な書法により書かれている。なお、『ソン・カリグラフィ』は1958年8月に行われた二十世紀音楽研究所の第2回軽井沢現代音楽祭の作曲コンクールにおいて松下眞一の『8人の奏者のための室内コンポジション』とともに順位なしの入賞を果たしている。
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