分国論とは? わかりやすく解説

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分国論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/09 18:41 UTC 版)

分国論(ぶんこくろん)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の歴史学者金錫亨が1960年代に発表した「三韓三国の日本列島内の分国について」という論文で提起した学説の通称。強烈な民族意識に支えられた朝鮮民族中心の歴史観。

概要

1960年代頃から朝鮮半島では民族主義が広がり、それまで主に日本国内で無批判に受け入れられていた「任那日本府」を否認するために主張されたもので、三韓三国の分国が日本列島内に存在し、『日本書紀』に登場する三韓三国は朝鮮半島内の本国を指すのではなく、日本列島内のそれぞれ分国を指すものとし、大和朝廷の影響が朝鮮半島に及んだことを否認している。

戦前の皇国史観を逆転させたもので、日本古代文化のルーツはすべて朝鮮にあり、さらに古代の日本が三韓(馬韓弁韓辰韓)三国(高句麗百済新羅)の植民地であったかのような古代史像をえがいた[1][注釈 1]

「分国論」に対する批判としては、『日本書紀』に登場する「任那日本府」を否認するために、『日本書紀』を批判しておきながら、『日本書紀』に登場する出雲神話天孫降臨神武東征などは歴史的事実と認め、そこから日本列島内の「分国」の存在を導き出しているのは自己矛盾以外の何物でもない、「分国論」が正しいなら、中国史料をはじめ、日本史料(『日本書紀』『古事記』)、朝鮮史料(『三国史記』『三国遺事』)などに何かしらの記事があるはずであるが、全くないことなどが挙げられる[2]

日本の学者で「分国論」をそのまま支持する者はほとんどいなかったものの、任那日本府の見直しが始まるなど、学界に定説批判の観点において一定の影響を与えた。現在もこれに連なる研究は続けられているが、根拠となる資料等は存在せず、日韓の学会からは十分に説得力のある学説とは見なされていない[3]

脚注

  1. ^ 穴沢(1990)p.79
  2. ^ 山尾幸久『古代の日朝関係』塙書房〈塙選書93〉、1989年8月24日、58頁。ISBN 482733093X 
  3. ^ 浜田耕策 (2005年6月). “共同研究を終えて 濱田耕策” (PDF). 日韓歴史共同研究報告書(第1期) (日韓歴史共同研究): p. 374-375. オリジナルの2020年7月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200715223533/https://www.jkcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/11/1-11j.pdf 

注釈

  1. ^ 穴沢咊光は、江上波夫騎馬民族征服王朝説が、分国論をはじめとする韓国・北朝鮮における民族主義的な古代史観と整合するため、この両国ではたいへん歓迎され、きわめて高く評価されていると指摘している。穴沢(1990)p.79

参考文献


分国論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 10:23 UTC 版)

朴時亨」の記事における「分国論」の解説

大和朝廷影響朝鮮半島及んだことを否定して、「三韓三国分国日本列島内に存在し日本書紀登場する三韓三国朝鮮半島内の本国を指すのではなく日本列島内のそれぞれ分国設置」「広開土王による倭国への侵攻」という分国論を提唱した

※この「分国論」の解説は、「朴時亨」の解説の一部です。
「分国論」を含む「朴時亨」の記事については、「朴時亨」の概要を参照ください。

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