冪零群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/15 10:05 UTC 版)
| 代数的構造 → 群論 群論 |
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群論における冪零群(べきれいぐん、英: nilpotent group)は、「ほとんど」アーベルな群である。この概念は、冪零群が可解群となるという事実に裏打ちされ、有限冪零群に対して位数が互いに素な二元は可換となる。有限冪零群はさらに超可解でさえある。冪零群の概念の創始は1930年代におけるロシア人数学者セルゲイ・チェルニコフの業績に帰せられる[1]。
冪零群はガロワ理論において、また群の分類理論において、用いられる。あるいはまた、リー群の分類においても顕著である。
冪零あるいは降中心列・昇中心列といった用語は、(導来群を作る操作を、リー括弧積で代用した類似概念を用いて)リー環の理論においても用いられる(冪零リー環の項を参照)。
定義
考えている群が冪零であるとは、以下の同値な条件の何れか(したがってすべて)を満足するときに言う:
- 有限の長さの中心列を持つ。それはすなわち、正規部分群からなる有限の系列
よく知られた冪零群の例である離散ハイゼンベルク群のケイリーグラフの一部 - 既に述べたように、任意のアーベル群は冪零である[2][4]。
- 小位数の非アーベルな例として、最小の非アーベル p-群である四元数群 Q8 を挙げることができる。その中心は位数 2 の {1, −1} であり、昇中心列 {1}, {1, −1}, Q8 が得られるから、これは冪零度 2 の例ということになる。
- 実は任意の有限 p-群が冪零である。位数 pn の p-群に対し、最大の冪零度は n - 1 である。冪零度最大の 2-群は、四元数群、二面体群あるいは半二面体群の一般化と考えられる。
- 二つの冪零群の直積はまた冪零である[5]。
- 逆に、任意の有限冪零群は p-群の直積になる[6]。
- ハイゼンベルク群は非アーベル[7]無限冪零群の例である[8]。
- 任意の体 F 上の n-次冪単行列(単上三角行列)全体の成す乗法群は、冪零度 n − 1 の冪零(代数)群である。
- F 上の n-次正則上三角行列全体の成す乗法群は一般には冪零群でない(が、可解群ではある)。
用語の説明
冪零群の名称は、それが任意の元による「随伴作用」が冪零となることによる。つまり、冪零度 n の冪零群に対して、その元 g の定める作用

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