p-群の中心は自明でないこと
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 03:23 UTC 版)
「p-群」の記事における「p-群の中心は自明でないこと」の解説
類等式からすぐに分かる事実のひとつが、非自明な有限 p -群の中心は自明でないことである。 この事実を起点として p -群についての多くの性質が帰納的に導き出される。 たとえば、有限 p -群 G の真部分群 H の正規化群 N は真に H を含む。実際、H =N なる部分群 N が存在すれば中心 Z は正規化群 N に含まれ、したがって H にも含まれるが、このとき H/Z は G/Z における正規化群が N/Z = H/Z に一致する。中心が自明でないことから H/Z は H より位数の小さな反例であり、無限降下法により矛盾が導かれる。この事実の系として、任意の有限 p -群は冪零群であることが分かる。 別の例として、有限 p -群の任意の正規部分群 N と中心 Z との交わりは自明でない。これは G が N に共役として作用するときに固定される元を考えればよい。中心に含まれる任意の部分群は正規ゆえ、先の結果から p -群の任意の極小正規部分群は中心 Z に含まれ、その位数は p となる。実際、有限 p -群のソークルは位数 p の中心元全体からなる Z の部分群になる。 G が p-群ならば G/Z もまた p-群であり、したがってその中心もまた自明でない。G/Z の中心の G における原像は、二次の中心と呼ばれ、以下同様に繰り返して昇中心列(英語版)が定義される。ソークルに関して先に述べたことを一般化すれば、位数 pn の有限 p-群は 0 ≤ i ≤ n なる各 i に対して位数 pi の正規部分群を含み、また位数 pi の任意の正規部分群は i-次の中心 Zi に含まれる。ある正規部分群が Zi に含まれないならば、その正規部分群と Zi+1 との交わりの位数は pi+1 以上である。
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