p 進数体の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 21:15 UTC 版)
p 進数が p 進展開と一対一に対応することから、p 進数体は連続体濃度を持つ。Q を部分体として含むので、標数は 0 である。どのように順序を入れても順序体にはできない。実数体 R の代数閉包(複素数体 C)が二次拡大で完備であるのに対し、p 進数体 Qp の代数閉包 Qp は無限次拡大でしかも完備ではない。その完備化は代数閉体であって、Cp と表される。これは複素数体 C と体として同型であるが、同型写像の存在は選択公理に依存しており、具体的に同型写像を与えることはできない。 Zp の単数群(可逆元全体の成す乗法群)は Zp× = {x ∈ Qp | vp(x) = 0} となる。Zp は局所環であり、その唯一の極大イデアルは p = { x ∈ Z p ∣ v p ( x ) > 0 } {\displaystyle {\mathfrak {p}}=\{x\in \mathbb {Z} _{p}\mid v_{p}(x)>0\}} と表される。これは p で生成される単項イデアル (p) = pZp である。Zp の pZp による剰余体 Zp/pZp (これを通常は p 進数体の剰余体などと呼ぶ)は p 元体 Fp = Z/pZ に同型であり、上で用いた展開の係数の集合 Ap は、しばしばこれと同一視される。 Qp の任意の元 x に対し、x = upn (n = vp(x)) となる u ∈ Zp× が一意的に存在する。したがって、Zp は単項イデアル整域であり、その任意のイデアルは (pk) = pkZp の形である。 p 進数体は離散付値である p 進付値に関して完備で、剰余体が有限であるので局所体のひとつである。p 進距離の定める位相に関して Zp は Qp の開かつ極大コンパクトな部分環である。同様に、Zp の任意のイデアルは開かつコンパクトとなる。さらに、これらのイデアルたちは 0 の基本近傍系を成す。特に、Qp は完全不連結局所コンパクトな位相体になる。 p 進数体が n 分体を含むための必要十分条件は n が p − 1 を割ることである。とくに、p が奇素数のときは、p 進数体は 1 の原始 p 乗根を含まない。
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