可解群・交換子群・冪零群とは? わかりやすく解説

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可解群・交換子群・冪零群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 05:19 UTC 版)

群 (数学)」の記事における「可解群・交換子群・冪零群」の解説

群 G が、G の部分群有限列 G0, G1, ..., Gn2 条件 { e } = G 0 ◃ G 1 ◃ ⋯ ◃ G n − 1 ◃ G n = G {\displaystyle \{e\}=G_{0}\triangleleft G_{1}\triangleleft \dotsb \triangleleft G_{n-1}\triangleleft G_{n}=G} Gi+1/Gi (0 ≤ i < n) は全てアーベル群満たすもの(アーベル正規列)を持つとき、G は可解群であるという。 最小位数の非可解群は5次の交代群 A5 である。 奇数位数有限群はすべて可解であることが、ジョン・G・トンプソンらによって証明されている(フェイト・トンプソンの定理)。トンプソンはこの業績によりフィールズ賞受けた標数 0 の体上において、代数方程式代数的に可解となることと、その方程式ガロア群可解群となることは同値である(一般正標数では同値ならない)。このことが可解群の名の由来である。また、4 次以下の交代群可解であるのに対し、5 次の交代群 A5 は可解でなく、したがってそれは 「5 次の一般代数方程式べき根のみによって解くことは出来ない」という命題の証明となる。 また、可解群の定義は次のように述べることもできる上の定義と同値): G の部分群 D(G) を D(G) = ⟨ xyx−1y−1 | x, y ∈ G ⟩ と定め、H1 = D(G), H2 = D(H1), ... と帰納的に G の部分群 Hi定めるとき、Hr = {e} となる自然数 r が存在するならば G を可解群と呼ぶ。 一般に、xyx−1y−1 を x と y の交換子呼び、[x, y] であらわす。さらに G の部分群 H, K に対し、[h, k] (h ∈ H, k ∈ K) の形の元で生成される G の部分群を [H, K] で表し、H と K の交換子群という。 この記号用いれば、D(G) = [G, G] であり、これを G の交換子群と呼ぶ。D(G) は G の特性部分群、したがって特に正規部分群である。すぐに分かるように、D(G) = {e} は G がアーベル群となることに同値である。したがって剰余群 G/H がアーベル群となるなら H ⊇ D(G) であり、自然に G/H ⊆ G/D(G) と見なせるので、G/D(G) は G の剰余アーベル群の中で最大ものになる。よって G/D(G) を G の最大剰余アーベル群あるいは G のアーベル化アーベル商などと呼ぶ。 次の2つ同値な条件満たす群を冪零群 という。 Γ 1 ( G ) = [ G , G ] {\displaystyle \Gamma _{1}(G)=[G,G]} とし、以下 Γ i + 1 ( G ) = [ G , Γ i ( G ) ] {\displaystyle \Gamma _{i+1}(G)=[G,\Gamma _{i}(G)]} と定めるとき、ある r が存在して Γ r = { e } {\displaystyle \Gamma _{r}=\{e\}} となる。 G の部分群の列 { e } = G 0 < G 1 < ⋯ < G n = G {\displaystyle \{e\}=G_{0}<G_{1}<\cdots <G_{n}=G} であって、各 Gi が G の正規部分群であり、Gi/Gi − 1 が G/Gi − 1 の中心に含まれるようなものが存在する可換群および有限 p 群はべき群である。また、べき群は可解群である。 可解性・べき性の遺伝:べき群の部分群および剰余群はべき群である。可解群部分群および剰余群可解群である。逆に G の正規部分群 N と剰余群 G/N がともに可解群なら G は可解群である。(べき群の場合には同様の主張成り立たない。)

※この「可解群・交換子群・冪零群」の解説は、「群 (数学)」の解説の一部です。
「可解群・交換子群・冪零群」を含む「群 (数学)」の記事については、「群 (数学)」の概要を参照ください。

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