再販制度の主旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 09:06 UTC 版)
再販制度は占領終了直後の1953年の独禁法改正で導入された。当時、指定再販商品制度の導入を求めて化粧品業界が熱心に働きかけたことがわかっている。 指定再販の趣旨は当時の国会審議によると、商品ブランドのイメージ低下をもたらすおとり廉売や乱売を事前に規制することにあった。しかし、現在は、 おとり廉売や乱売は独禁法により事後規制が可能であること メーカーが成長してブランドが確立されていること 再販制度の弊害が目立つこと などの理由から認められておらず、指定再販制度は1997年の指定全廃以来死文化している。 再販制度の趣旨は、制定当時の資料が少なく明確ではない。当時の国会審議は化粧品・医薬品の指定再販の導入が主な論点で著作物にほとんど言及がなく、関係業界が陳情した形跡もない。後に研究者らが推測した。 商行為追認説 戦前から著作物の定価販売が消費者になじみ深かったからとする説。戦前の定価販売はカルテルによって実施されていたので、独禁法の趣旨に反して積極的に法定するほどの理由としては弱い。 弊害希薄説 定価販売下でも出版社は多数存在し新規参入も活発だったから弊害は少ないとする説。近年では取次の寡占が進んで弊害が現れているとされており、説得力を持たない。 文化的配慮説 著作物の多様性を維持し、文化の保護を図るためとする説。 西独模倣説 当時の西ドイツ(ドイツ連邦共和国)の競争制限禁止法の草案では商標品と出版物が再販制度の対象となっていたため、それを模倣したとする説。適用範囲に「出版物」ではなく、より定義の広い「著作物」として音楽ソフトを含めた理由が分からない。 化粧品主導説 化粧品に指定再販を導入するにあたり説得力に欠けるため、著作物も含めてカモフラージュしたとする説。 これらの説のうち、関係業界は文化的配慮説の線で主張する場合が多い。 有力な生産者または販売業者が、小売業者の価格競争を制限し、安定した利潤を確保するために実施する事例が多い。
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