内容・伝本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 06:49 UTC 版)
農書的な30巻までが刊行され、複数の刊本が伝わる。構成は、1から14巻が農事全般を扱う「農事部」、15から20巻が穀物を扱う「五穀部」、21から30巻が野菜を扱う「菜蔬部」となっている。版木は、初版の文化元年(1804年)から明治元年まで同一のものが使われたが、その後の行方は知れない。 また、未刊の31から45巻が、写本の形で断片的に伝わる。静嘉堂文庫蔵写本には「菌部」「薬草部」「草部」「木部」「果部」、東京国立博物館蔵写本には「鳥部」にあたる内容が含まれている。この「鳥部」は1932年に土屋喬雄が発見した。伝来経緯としては、鳥飼い趣味を嗜む重豪が、曽槃の遺稿の写しを藩臣(穂積実と内野儀)に作らせ私蔵したものと推定される。 項目は基本的に和文で書かれており、和漢の古典籍や『東雅』『庶物類纂』などを用いての考証や解説のほか、和名・漢名・オランダ名の対照、そしてイラスト(図譜)を多く含んでいる。 イラストは、一般的な刊本では墨刷り白黒だが、一部の特装本は多色刷りでカラフルになっている。これは将軍家や有力大名家への贈呈用だったと推定される。ライデン大学には桂川甫賢がシーボルトに贈った彩色本が収蔵されている。上記2つの写本にも彩色が施されている。 2巻には神代文字の一種「アナイチ」が載っている。 21巻には桜島大根が載っているが、外見が現在のものと異なる。理由は定かでない。 21巻には江戸野菜の品川カブが載っており、2000年代品川区での品種復活に寄与した。
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