共同受信設備とは? わかりやすく解説

共同受信施設

(共同受信設備 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/13 01:31 UTC 版)

共同受信施設(きょうどうじゅしんしせつ)は、集合住宅山間部といったテレビラジオ難視聴地域で放送波(電波)を共同で受信するための設備である[1][2]共聴施設とも呼ばれる[3]

主として都市部に集合住宅共同受信施設があり、山間部に難視聴解消共同受信施設があると言うことができ、共聴組合として組合組織で運営している施設もある。日本の地上デジタルテレビ放送への移行期において、特に難視聴地域が多い山間地の過疎地域を中心に、共同受信施設のデジタル化対応の改修[4]が大きな課題となった。

概要

山間部の共同受信施設の場合、地元の組合が受信設備を自主的に設置または電力会社が設置した受信設備の運営を組合が引き継いだ「自主共聴」と日本放送協会(NHK)及び地元の組合が共同で受信設備を設置・運営している「NHK共聴」の2通りがある。2023年6月時点で自主共聴は約9700施設、NHK共聴は約5300施設が日本にあるとしている[5][6]。これらの設備の運営費用は加入者である地区住民から徴収した会費にて賄っているが、NHK共聴については費用の一部をNHKが補助している[6]

集合住宅の共同受信施設の場合、周りの低層の建物も受信できるようにする場合がある。地上波だけではなく、BS放送やCS放送も受信できるようになっているところもある[7]

地上デジタル放送への移行(アナログ放送終了)に伴う改修

テレビ電波受信設備としてVHFアンテナのみを備え、従来のアナログ放送のみ受信可能な共同受信施設(特に東京周辺に多い)においては、地上デジタル放送を受信するためにUHFアンテナの設置が必要である[8]。ただし、UHFアンテナがあっても、62chまでの受信は不可能な仕様により、地上デジタル放送が受信できない場合もあった[要出典]

老朽化でデジタル放送移行を機に共同受信施設を改修する場合、費用がかかるため、日本では国が改修費用の一部を補助する制度があった[9][10][11]。また、アナログ放送終了を機に、域内に散在するデジタル放送への対応が困難な小規模の共同受信施設を統合する目的で、地方公共団体が情報技術インフラストラクチャーとして光ファイバーケーブルなどの有線通信回線を整備した上でデジタルテレビ放送をケーブルテレビ局に運営委託する事例[12]や、地方公共団体がケーブルテレビ事業者となってデジタルテレビ放送をおこなう事例[13]もある。

脚注

  1. ^ 中国総合通信局放送部有線放送課. “テレビ・ラジオの共同受信施設(共聴施設)について”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2023年5月27日閲覧。 ※参考資料「用語集」(pdf)あり。
  2. ^ 放送受信環境整備:共同受信施設のデジタル化”. NHKアイテック. 株式会社NHKアイテック. 2010年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月17日閲覧。
  3. ^ 東北総合通信局. “テレビ共同受信施設とは…”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2023年5月27日閲覧。 “受信環境の良い場所に設置したアンテナで受信したテレビ放送電波を複数の世帯に分配し、共同で視聴する施設のことです。(以下、「共聴施設」)”
  4. ^ 受信方法 : 山間地などの地理的条件によるテレビ難視聴解消の共同受信施設で受信する場合”. 地上デジタルテレビ放送のご案内(総務省ウェブサイト). 総務省. 2011年8月17日閲覧。
  5. ^ 日本放送協会 (2023年12月21日). “衛星放送ワーキンググループ(第2回)ご説明資料 NHK共聴の現状について”. 総務省. pp. 1-2. 2025年1月13日閲覧。
  6. ^ a b 消えぬ地デジ難民(上) 自主運営の組合、大幅赤字に苦慮 移行から約14年、山間地などにはいまだに「地デジ難民」存在 「高齢者は地上波放送が日常の情報源であり、娯楽」”. 埼玉新聞 (2025年1月7日). 2025年1月8日閲覧。
  7. ^ テレビ共同受信システムとは”. 八木アンテナ株式会社 (2006年). 2009年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月17日閲覧。
  8. ^ 総務省, (社)デジタル放送推進協会 (2008年4月). “ビル陰の共同受信施設を保有・運営されている皆さまへ” (pdf). 地上デジタルテレビ放送のご案内(総務省ウェブサイト). 総務省. 2009年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。 ※pdf配布元は「受信方法|地上デジタルテレビ放送のご案内(総務省)」ページ。
  9. ^ 主な支援策”. 地上デジタルテレビ放送のご案内(総務省ウェブサイト). 総務省. 2011年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。
  10. ^ よくある質問(Q&A) : 共聴施設による視聴について : 問9. 共聴施設をデジタル化する費用に関する公的補助制度はありませんか?”. 地上デジタルテレビ放送のご案内(総務省ウェブサイト). 総務省. 2023年5月27日閲覧。
  11. ^ 東北総合通信局. “辺地共聴施設整備事業”. 総務省ウェブサイト. 総務省. 2023年5月27日閲覧。 “全国に約18,400施設、約164万世帯が利用していると推計される辺地共聴施設のデジタル化を行うための改修を行うに当たり、受信点の新設・改修等を行う等住民の負担が著しく過重となる場合に、辺地共聴施設を整備する市町村等に対して国がその整備費用の一部を補助する。”
  12. ^ たとえば、豊橋ケーブルネットワーク#特徴を参照。
  13. ^ 堀尾昌史(岩手県住田町町づくり推進課) (2008年11月26日). “岩手県住田町における地域情報化の取り組み 〜平成19年度総務省地域情報通信基盤整備推進交付金事業〜” (pdf). 日本ネットワークインフォメーションセンター (JONIC). 2023年5月27日閲覧。 ※pdf配布元は「Internet Week 2008 : H7 成功事例にみる地域情報化の核づくり」ページ。

関連項目


共同受信設備

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 17:17 UTC 版)

ケーブルテレビ」の記事における「共同受信設備」の解説

共同受信施設」も参照 日本初ケーブルテレビ1955年6月10日群馬県渋川市伊香保町当時北群馬郡伊香保町)で、伊香保温泉観光協会陳情によって、NHK難視聴対策実験として設置されたものが初めてだと言われているが、実際にそれ以前から温泉地などの難視聴地域ではケーブルテレビ原形とも言うべき共同アンテナ設置始まっており、有線引いてラジオ共同聴取昭和戦前に既に実施されていた。 その後難視聴解消用の共同受信設備は、山間部或いは都市部におけるマルチパス対策高層ビル集合住宅などで発展した。なお、東京都初め誕生したケーブルテレビ新宿区歌舞伎町商店組合難視聴対策作った日本ケーブルビジョンである。このようにNHKNTTも官主導であることを考えると、ケーブルテレビ通信・放送事業の中で民間主導形成され、後を追って官庁法整備をした稀に見るインフラ産業でもある。 アナログテレビ放送FMラジオ放送有線による同時再送信場合、最高伝送可能周波数が222MHzであった1980年代には、他地域テレビ放送である区域外再放送やCS/BSなどの専門チャンネル同時送信による多チャンネル化自主制作放送を行うため、最高伝送可能周波数を350MHz・450MHzに拡大したものも登場した

※この「共同受信設備」の解説は、「ケーブルテレビ」の解説の一部です。
「共同受信設備」を含む「ケーブルテレビ」の記事については、「ケーブルテレビ」の概要を参照ください。

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