兄と同じ道へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 20:36 UTC 版)
駿がバレエをやめていた時期は、兄の諒が2004年にローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を獲得して、ハンブルク・バレエ学校に留学していた時期と重なっていた。諒は1988年生まれで、バレエ好きの母の影響を受けて4歳からバレエを始めていた。駿は兄について「あこがれであり、尊敬できる兄」と評し、「子供のころからすごくうまくて、ぼくはずっと兄みたいに踊れるようになりたいという思いでやってきた」と発言している。 駿は兄と同じくプロのダンサーへの道を歩みたいと思いつつも、「どうしてバレエをやっているんだろう?」などと心が揺れ動いたために一時期バレエをやめていた。後に諒はこの時期について「ぼくはそばにいなかったけど、自分がもっと駿の意志を後押ししてあげられたら、っていう後悔は少しあります」と述懐している。 大学に入った頃は、プロのバレエダンサーとなった兄について「すごいな」と思うことがあっても、本人は自分もプロになって踊り続けることは全く考えていなかった。諒からも、プロのダンサーを目指すように言われたことはなかったという。バレエスタジオDUO所属後は、よい指導者との出会いによって再び真剣にバレエに取り組むようになった。駿は2014年、大学在学中に新国立劇場バレエ団のオーディションを受け、同年秋にソリストとして入団した。 新国立劇場バレエ団での初舞台は、2014年末の公演『シンデレラ』(フレデリック・アシュトン振付)の王子役という異例の主役デビューであった。本人も「いきなり主演と言われて本当にびっくりしました」と当時を振り返り、「プロとしてバレエ団で踊るのも初めてだったし、凄く怖かったです」と述べていた。『シンデレラ』は好評を博し、駿の主役デビューについても新進スターの誕生として注目を集めた。 新国立劇場バレエ団では、2015年に『こうもり』(ローラン・プティ振付)、『ホフマン物語』(ピーター・ダレル(英語版)振付)、『くるみ割り人形』(牧阿佐美振付)で主役を踊り、2016年には『ラ・シルフィード』(オーギュスト・ブルノンヴィル振付)、『ドン・キホーテ』(アレクセイ・ファジェーチェフ改訂振付)で主演した。他にコミカルで力強い『トロイ・ゲーム』(ロバート・ノース振付、2016年3月公演)や、『アラジン』(デヴィッド・ビントレー振付、2016年6月公演)でスキンヘッドで全身青塗りの精霊ジーン役を踊るなど、役柄と表現に幅広さを加えている。2016年に同バレエ団のファースト・ソリスト、2017年にはプリンシパルに昇格した。 2018年に中川鋭之助賞、2020年には舞踊批評家協会新人賞、2022年には芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。
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