備えあれば憂いなし
別表記:備えあれば憂えなし、備えあれば患なし、備え有れば患い無し、有備無憂、有備無患
前もって準備を整えておけば、いざというときに何が事が起きても心配無用であり、という意味のことわざ、故事成語。常日頃の準備が非常に大切であるということ。
「憂い」の意味は「不安に思うこと」または「嘆き悲しむこと」である。「心配して心を痛める」というニュアンスが色濃い。「憂」の字の使用例には「憂慮」「杞憂」「一喜一憂」などがある。なお動詞の用法は「憂える(うれえる)」。
「備えあれば憂いなし」は、中国の故事(「書経(尚書)」の「説命(えつめい)中」)に由来する故事成語である。原文(漢文)では「有備無患」と記述されている。そのまま読み下せば「備え有れば患(うれ)い無し」である。
「患」の字は「憂」の同義語であり、ともに「心配して心を痛める」という意味がある。「憂患」(ゆうかん:心配して悩み苦しむこと)という言葉もある。「内憂外患」という言葉もある。
「患」には「病んでいる」という意味の字義もある(患部・患者・疾患)が、「外患」「憂患」の「患」とは別の字義と捉えられている。
備えあれば憂いなし
備えあれば憂いなし
備えあれば憂いなし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 00:16 UTC 版)
備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)は、古代中国からのことわざ。
概要
日頃からいざというときのための準備を怠っていなければ、万が一の事態が起こったとしても少しも心配することはないということを意味する[1]。
歴史
この言葉は『書経』で述べられていた事柄であった。この作中には殷の王に対して補佐役が王としての心がけを説いていたものがあり、その中に備えあれば憂いなしというものがあった[1]。
『春秋左氏伝』にこの言葉の元となった話が出てくる。それによると春秋時代の中国では、晋や宋や斉などの12国の連合軍が鄭へ攻め入ろうとしたことがあったのだが、そのときに鄭は急遽和睦を願い出た。晋はこれを受け入れて、他の国も進軍を取りやめた。それから鄭は晋に礼として貢物を送れば、晋の王はこれを家臣と山分けしようとした。この時に家臣であった魏縫はこれを固辞し、今の晋は順調な時であるからこそ常に将来の危険を考えるべき。警戒心があるからこそ準備をすることができると、備えあれば憂いなしというようなことを述べた[2]。
脚注
- ^ a b 故事成語を知る辞典. “備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年2月14日閲覧。
- ^ “中国故事に記されている『居安思危(きょあんしき)』とはどういう意味か?[今週の防災格言52]”. 防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」. 2025年2月14日閲覧。
「備えあれば憂いなし」の例文・使い方・用例・文例
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