傍系三親等血族同士の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 13:56 UTC 版)
「近親相姦」の記事における「傍系三親等血族同士の場合」の解説
「叔姪婚」も参照 イギリスのように、おじおば甥姪との性関係に対して刑罰規定が適用されうるとする法域も存在するが、ロシアでは家族法典第14条で近親婚扱いされておらず、婚姻が許可されている。ドイツでも婚姻法第4条第1項第21条で近親婚扱いされていないため、婚姻が可能である。フランスでは民法典第163条で一応は禁止されているものの、民法典第164条の規定で重大な理由がある場合はフランス大統領は婚姻を許可することができることになっている。日本でも国家としては婚姻の許可はしないものの、性関係に対する罰則は存在しない上、地域社会で結婚が実質的に受け入れられている場合もある。倉本政雄が1942年(昭和17年)の年度に調査し、1943年(昭和18年)に豐田文一と共同で発表した研究報告では、富山県の産婦人科で取り扱った1197人の調査において、叔姪婚が2組(全ての結婚のうちの約0.17%)存在していたという報告がある。だが、たとえ地域社会で受け入れられていても民法で許可された婚姻と同等に扱うことはできないのでは、という論争が日本ではあった。 茨城県で父方の叔父と1958年以降内縁関係にあった姪が、叔父の死亡後に近親婚を理由として社会保険庁から遺族年金の支給を断られたため裁判となった。2004年6月22日、東京地方裁判所は地域社会で公認されている以上は法的な妻と同等の権利はあると判断した。しかし、控訴審の東京高等裁判所では2005年5月31日、近親婚的内縁関係に権利を認めると民法で守られている秩序が破壊されてしまうとして、社会的に保護される権利はないと逆転判決を出した。これを受け最高裁判所への上告が行われ、2007年3月8日、最高裁判所はこの場合は地域社会に受け入れられているため、倫理性や公益性を省みた上で権利は認められる、と原告の訴えを認める判断を示した。
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