停止状態の終了
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 07:58 UTC 版)
もし共同相続人が子女・配偶者なく死亡するなどして最終的に一人だけが残った場合、爵位の承継を主張することができ、停止状態は終了する。しかし男子があらわれない限り潜在的な相続人の数は増え続けるため、これが膨大な数になることもある。 また、共同相続人は国王に停止状態の終了を請願することができる。国王は請願を許可することができるが、申立人の血統に何らかの疑いがある場合、その請願は通常、権限委員会 (Committee for Privileges) に委ねられる。請願が反対されない場合、委員会は共謀の証拠があるとき、その爵位の停止状態が1世紀超に及ぶとき、あるいは請願人が権利の3分の1未満しか保有しないときを除き、裁定を行う。 この原則は17世紀に考案されたが、現在では17世紀以降に限らず、その数百年前に到るまでさかのぼって適用することが行われている。とはいえこの原則がいつもその通り行われているとは限らない。例えば第8代デ・ラ・ウェア男爵(英語版)には3人の息子が残っていたが、長男は子供がないまま死去し、次男には2人の娘、三男には1人の息子がいた。現代の法律では爵位は次男の2人の娘の間で停止状態となり、停止がのちに解決して娘のどちらかが爵位を承継したとしても、余人は誰も異議をとなえることはできない。しかしながら1597年、三男の孫が爵位とその優先権を主張した。 (彼の父親は1570年にデ・ラ・ウェア男爵に再叙爵されていた。) 1604年、ル・ディスペンサー男爵の事案は、はじめて「解消」された「停止」となった。2番目の解消は1660年のイングランド王政復古の際に発生した。その後のほとんどの「停止」は、家族の財産の所有者の賛成の元、数年内に解決した。 爵位が「停止」のまま数世紀にわたり残ることも可能である。例えばコッドノアのグレイ男爵(英語版)位は1496年から1989年まで490年以上「停止」状態にあり、ヘースティングズ男爵(英語版)位は1542年から1841年まで299年間「停止」されていた。他のいくつかの男爵位が13世紀に「停止」となっているが、未だに終了はしていない。男爵位よりも高位の爵位のうち、現代でも「停止」となっているのはのちに統合されたアーリントン伯爵位とセットフォード子爵位が挙げられるほか、クロマーティ伯爵位も1893年より2年間停止していた。 長い「停止」状態の後イギリスの爵位を主張するのは簡単ではない。1927年、議会の「停止状態の爵位に係る特別委員会」 (Select Committee on Peerages in Abeyance) は、「停止」が100年を超えている場合、または申請者が権利の3分の1以下しか保有していない場合、請願は検討されるべきではないことを推奨した。コッドノアのグレイ男爵位については、この提言が国王に対して行われる前に請願が提出されたので、この原則の例外として扱われた。
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