価値実現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 10:09 UTC 版)
ヴィクトール・フランクル(1905年~1997年)は以下のように述べた。 「人間が人生の意味は何かと問う前に、人生のほうが人間に対し問いを発してきている。だから人間は、本当は、生きる意味を問い求める必要などないのである。人間は、人生から問われている存在である。人間は、生きる意味を求めて問いを発するのではなく、人生からの問いに答えなくてはならない。そしてその答えは、それぞれの人生からの具体的な問いかけに対する具体的な答えでなくてはならない」 — ヴィクトール・フランクル 『死と愛』 みすず書房、1961年[要ページ番号]。(原題『医師による魂の癒し』) これをもう少し噛み砕いて説明すると、フランクルが言いたいのは、人生を「自分がしたいことをしてゆく場」と捉えてしまっている人も多いようだが、このような「私のやりたいことをするのが人生だ」という人生観(欲望中心の価値観)ではなくて、フランクルは「私がなすべきこと、使命を実現してゆくのが人生だ」という人生観を意識的に選択すると、ひとりひとりの具体的な人生から、自然と、絶え間なく意味がもたらされるようになる、といったことを述べているのである[要出典]。 欲望中心の価値観では、例えば病気や人間関係等のトラブルはただの邪魔なものとしか眼に映らないが、「意味と使命中心の生き方」「なすべきことをなす生き方」では、それらのトラブルは何らかの意味がある、と受け止められるようになる[要出典]。「これらの出来事を通して、人生が私に何かを問いかけてきている」「私に何を学ばせようとしているのだろう?」と受け止めることができるようになる、といったことをヴィクトール・フランクルは言っている[要出典]。 そして「人生が自分に求めていること」を見つけるための手がかりとして、"三つの価値"を提示する[要出典]。「創造価値」「体験価値」「態度価値」である[要出典]。 創造価値 自分の仕事を通して実現される価値[要出典]。これは大それたものである必要はなく、例えば、調理、コピーとり、清掃などで[要出典]も。これによって助かる人、快適になる人がいる何かを提供している、ということ[要出典]。 体験価値 人や自然と触れ合う体験によって何かを受け取ることができ、また何かが実現できる価値のこと[要出典]。 態度価値 自分に与えられた運命に対してどういう態度をとるか[要出典]。それによって実現されてゆく価値のこと[要出典]。人生には、生まれつき決まってしまっている一種の「宿命」のようなものもあり、「運命」とも言えるものもあり、また生きている最中にはさまざまなことが起きる[要出典]。このような「与えられたもの」に対してどういう態度をとりながら生きるかによって、その人の人生の真価がわかる、とフランクルは述べる[要出典]。そして、この態度価値だけは、(前述の二つの価値とは異なり)人がいかなる苦境に追い込まれ、さまざまな能力や可能性が奪われても、実現の可能性がたたれることはない、と述べる[要出典]。つまり、この価値をもってすれば、人は息を引き取るその瞬間まで、人生から意味が無くなることは無く、「人生の意味」は絶えず送り届けられ、発見され、実現されるのを待っている、ということになるのである。
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